新年特別企画 対談「人がつながり、いのちはめぐる」第二部
映画監督 河瀨直美さん × 北極しろくま堂店主 園田正世

対談「人がつながり、いのちはめぐる」第一部対談タイトル
対談「人がつながり、いのちはめぐる」第一部対談風景01

数多くの映画を作り出されている河瀨さん。なんと保育園に通うお子さんのお母さんでいらっしゃいます。お子さんが小さい頃使っていたという手作りスリングのこと、ご自身の子育て観についてもお聞きしました。


園田
河瀨さんは陽がのぼるとともに起きて、というような生活をされていると聞いて少し驚きました。映画製作をされている方って深夜作業をして昼に起きてくるイメージだったんですが。

河瀨
ああ、みんなそうですね。でも私はそのような生活をすると身体に不調が現れるので、早く起きてやるようにしています。夜は10時には寝るようにして朝は5時に起きて散歩をしたりしています。

ずっと近くにいたから離れられる

園田
ではお子さんと過ごす時間もとれていらっしゃるんでしょうか。
 
河瀨
はい。今日も朝は保育園に送ってきました。可能なときは送り迎えもするようにしています。ただ、私が泊まりなどのときのお迎えはスタッフに行ってもらいます。私の作品は家族やいのちなどをテーマにしたようなものが多いので、表現や感性が自分自身の家庭や子育てなどを抜きにしてはでてこないというのをスタッフも理解してくれていて、そういった面でも支えられています。
保育園に入れたのが2歳からなので、それまではずっと仕事にも連れて行っていました。スリングもスタッフが手作りしたものですが、ずっと使っていたんです。

園田
そうなんですか。だっこやおんぶはほ乳類にとってはごく自然で当たり前の行動ですよね。吉村医院のお産もすごく動物的だと感じました。それが本来の姿であると思います。しかし、今の日本の子育てやお産の現状は段々そのような原点から離れていっている気がするのですが、河瀨さんはどう思われますか。

河瀨
同じように感じます。ベビーカーも私はほとんど使わなかったんです。ベビーカーに乗っていると赤ちゃんはすごく低い位置にいるので、排気ガスをたくさんかぶってしまうんだろうなと思います。また、お母さんの顔も見ることができないので、あの低い位置から見ると世界が恐ろしい場所に見えているんじゃないかという気がします。

園田
そうですね、あの目線だと人の足などがせまってくるように感じるでしょうね。

河瀨
ええ。でもそれがお母さんにとっては楽だし、子どももそれに慣れてくるのか、そうやって自立していくんですよね。私はそれがすごく寂しく思えて、新幹線の移動でも抱っこをしていました。いつも添い寝もしていましたし、授乳も3歳までしました。

園田
これまで手がけられた作品の年表を見ていると、ずっと途切れていないですよね。その中で授乳を続けて、お子さんと一緒に寝ていらっしゃったなんて、びっくりします。

河瀨
保育園に行っている今でも、海外へ行くときなど10日以上家を空ける際は必ず一緒に連れていきます。一緒に色々なところに行っているせいか、初めて会ったお友達とも仲良くなるのが上手です。絶対におかあちゃんのそばにいなくちゃいけないという訳ではなく、小さい時にずっと一緒にいたから、どこかでつながっていると思っているのか、むしろ安心して外の世界に向かっていけている気がします。

園田
私もスリングは初めは便利だから使い始めたんですが、使っていくと絆ができていって、子どもと心も身体もつながっている感覚がありました。同じように抱っこをして育ててきた他のお母さんに尋ねても、やはり目に見えない何かが心の中で育っているようだとおっしゃるので、きっと絆ができているんだろうなと思っています。

河瀨
スリングはお腹の中にいるときに近い感覚や形になるなと思って使っていましたよ。

園田
そうですね。生きている成長の過程に逆らわないことで、赤ちゃんも自分も身体をゆるめてのびのびとできる気がするんですよね。でも今ってなかなかそうじゃない状況も多いので、お母さんはつらいだろうなと思う時があります。
 
河瀨
私は、世の中にあふれている情報などをあまり入れないで、子どもだけを見て育てていってもいいんじゃないかと思うことがあります。街中ではすごくイライラしていらっしゃるお母さんをよく見かけます。子どもに対してイライラしているんじゃなくて、自分の今の状況がつらくてしょうがないんじゃないかと思います。約束の時間があったりするのかもしれませんが、せっかく子どもとの時間を過ごしているのであればもっと緩やかにしていてもいいんじゃないかなと思ってしまうんです。

「人」は「人」とつながって生きている

園田
緩やかといえば、吉村医院の古屋(※2)にいる妊婦さんたちは本当に時間がゆったり流れているという印象をうけました。薪割りにしてもひとつひとつの動きを大切にしていらっしゃるなと感じます。
 
河瀨
吉村さんが「ごろごろ、ぱくぱく、びくびくしない」とおっしゃるように、吉村医院の妊婦さんはお産に近づくにつれ、心身ともにゆったりリラックスした状態になっていくんです。

園田
心も身体も出産にむけてベストな体勢が整っていくというのは素晴らしいですね。撮影には1年かけられたそうですが、吉村医院に通ううちに河瀨さんご自身の考えなどに変化はありましたか。
 
河瀨
究極のところ、やはり「人」は「人」と関わりつながりあって生きているんだなと思いました。産科医として2万人の赤ちゃんの出産に立ち会ってこられている吉村さんも、映画に出てくるようなご自身の娘さんとの確執などがあったりします。それでも引き続き新しいいのちが生まれることへの支援をされているというのは、吉村さんが吉村正としてこの世に誕生して、そういった役割を得たということなんです。でも反面でそこには孤独と向き合っていかなければいけない部分もあるんですが、それはまた一方で吉村さんの強さにもなっているんでしょう。だからこそ人はつながって支えあって生きていくんだということを撮影を通して再確認しました。


※1
「玄牝(げんぴん)」:大河の源流にある谷神は、とめどなく生命を生み出しながらも絶えることはない。谷神同様、女性(器)もまた、万物を生み出す源であり、その働きは尽きることがない。老子はこれを玄牝—神秘なる母性と呼んでいる。
 
※2
「古屋」:吉村医院に隣接する古民家。妊婦さん達が集い、薪割りなどを行ったり、両親教室が開かれる場所。


河瀨直美さんプロフィール

河瀨直美さんプロフィール

奈良市生まれ。大阪写真(現ビジュアルアーツ)専門学校映画科卒業。劇場映画デビュー作「萌の朱雀」でカンヌ国際映画祭新人監督賞を史上最年少受賞。その後、「火垂(ほたる)」(2000年)「沙羅双樹」(2003年)「垂乳女⁄Tarachime」(2006年)などで映画祭での受賞を重ねる。「殯の森」は2007年カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞。2008年には初期ドキュメンタリー集DVDBOX「紡ぐ」をリリース、また新作「七夜待(ななよまち)」が公開された。2010年より開催予定の「なら国際映画祭」エグゼクティブディレクターを務める。

公式HP:
http://www.kawasenaomi.com/

「家族みんなで!あんしんシネマ」
「玄牝ーげんぴんー」は薬や医療機器に頼らない自然なお産に取り組んでいる「吉村医院」を舞台にしたドキュメンタリー映画。出産に対する今までのイメージが変わったという感想も多いこの映画を、普段映画館で映画を観ることから疎遠になっているパパ、ママにもぜひご覧ご覧いただきたいという意図で、一部の劇場で行われている取り組みです。「あんしんシネマ」の上映回では、非常灯や足元灯の点灯やおむつ替えスペースの設置など、子連れでも安心して映画が観られるような工夫がされています。


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どうやって応募するの?

北極しろくま堂製品でだっこ、おんぶしている写真をパチリと撮って送るだけです。
応募の詳細はこちらでご確認ください。

携帯でも応募できる?

もちろん応募可能です。携帯で気軽に撮った写真は自然な表情が多く、入賞も多いですよ。 できる限り大きなサイズの画像でお送りください。

送り先QRコードはこちら→

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北極しろくま堂 抱っこひも・おんぶひもの使い方相談会ご案内

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編集後記

新春対談はいかがでしたか?
世界を舞台に活躍されている河瀨さんも一人の子育て中のお母さん。映画製作の中で必要となる表現力は「子育て」の中からも得られるとおっしゃっていました。
子育ては唯一無二の経験。子どもの成長とともに自分自身も成長していきたいですね。
SHIROKUMA mail editor: MK

EDITORS

Producer Masayo Sonoda
Creative Director Mayu Kyoi
Writer Mayu Kyoi, Masahiko Hirano
Copy Writer Mayu Kyoi, Masahiko Hirano
Photographer Yasuko Mochizuki, Yoko Fujimoto, Keiko Kubota
Illustration 823design Hatsumi Tonegawa
Web Designer Chie Miwa, Nobue Kawashima (Rewrite)
 
☆Happy Nurturing☆
HOKKYOKU SHIROKUMADO
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