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vol.79 新年特別企画 対談「人がつながり、いのちはめぐる」第一部

vol.79 新年特別企画 対談「人がつながり、いのちはめぐる」第一部
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新年特別企画 対談「人がつながり、いのちはめぐる」第一部
映画監督 河瀨直美さん × 北極しろくま堂店主 園田正世

現在公開中の映画「玄牝-げんぴん-」。薬や医療機器に頼らない自然なお産に取り組んでいる「吉村医院」(愛知県岡崎市)を舞台にしたドキュメンタリー映画です。医院の日常をありのままに撮ったのは「萌の朱雀(もえのすざく)」、「殯の森(もがりのもり)」の河瀨直美監督。ご自身も一児の母として出産された経験があり、女性の視点からいのちがつながる場面をフィルムに収められました。その河瀨監督に今回の映画の話からご自身の子育てのことまで、お話を伺ってきました。


園田
「玄牝(げんぴん)」(※1)、本当に本当に感動しました。自分のお産のことも思い出されて、涙を流してしまいました。今回河瀨さんが吉村医院を撮ることになったきっかけを教えてください。

河瀨
はい、ひとことでいうと「ご縁」です。漠然とはしているんですが、たまたま人のつながりで吉村さんと出会って、そして医院の中で妊婦さん達にまた出会っていきました。こう撮りたいという完成形を思い描いて撮った訳ではないので、全て「縁」なんです。それを、誠意をもって伝えていこうとした結果がこのような映画になりました。吉村医院を取り上げると「自然分娩」がクローズアップされるんですが、「自然分娩」だけがすごいんじゃなくって、いのちが生み出されていく事がすごい事なんです。吉村さんとの出会いをつなげていった過程がこの映画にはあります。

園田
いのちが生み出されていくところにそれぞれ物語があって、それを本当にそのまま切り取って映像にされているからか、映画の中にどんどん引き込まれていきました。映画の中の妊婦さんたちは、本当に自然体ですよね。

河瀨
撮り進めていくにあたって、始めからカメラを構えることはしませんでした。吉村さんに対しても、妊婦さんに対してもまずは私自身が自分を開いて相手と向き合うようにしました。そうすると、何も隠さず話してくれましたし、出産の立ち会いにも応じてくれました。

園田
今回はいのちの誕生であるお産がテーマでしたが、吉村先生は「生」と「死」は常に隣り合わせだというようなことをおっしゃっています。映画の中でも死産だったという方のお話が出てきますよね。「生」がたくさん取り上げられている中で少しびっくりしました。

河瀨
たまたま撮影に行っていた時に、その死産に直面した方がいらっしゃいました。「死」の側面についても吉村さんと話ができ、幸せに生まれてくるだけではない人間のもっている宿命のようなものをもフィルムに収めた事で、作品がもつ意味も深くなっていきました。

お産は女性の喜び

園田
以前静岡に吉村先生をお呼びして、講演をしていただいたことがあるんですが、そのとき先生は「産爺」になりたいっておっしゃっていたんです。「産婆」でなく「産爺」に。

河瀨
ええ、確かに吉村さんはいわゆるお医者さんのイメージとはちょっと違いますよね。

園田
そうですね。今回映画を拝見し、ほんとに産爺になられたんだな、きっとこんな風になりたかったんだろうなと思いました。 河瀨さんも数年前にお産を経験されているんですよね。納得のいくお産だったと何かで読ませていただきましたが、撮影されているとご自身のお産を思い出したりされましたか。

河瀨
はい、私はすごく静かなお産だったんです。助産師さんが顔に力を入れたり、声を出したりしてもそっちにエネルギーがいくから、産道に意識を集中したほうがいいよと教えてくださったのがすごく理解できて、叫ばないでいいんだなと思いました。

園田
そうなんですよね、テレビの影響なのかお産って叫ぶイメージがあります。あれはよくないですね。

河瀨
あのイメージがほとんどの人のお産のイメージなんですよね。だからすごい痛いんだろうって思ってしまうし、私にできるかなって考えてしまうんでしょうね。それに対して吉村さんのところのお産は、自分を高められ、女性としての喜びを味わえると思うんです。180度違うイメージですね。

園田
出産シーンで、「気持ちいい」とおっしゃった人がいらっしゃいましたが、下半身さえ映していないとまるで性行為のエクスタシーを感じている場面だと思えるような雰囲気だと感じました。

河瀨
そうですね。お産を旦那さんと一緒にされている場合が多いですし、やっぱりセックスに近いんでしょうね。そこに新しい命もいて、全然不潔でもなくいやらしくもない。動物的で原始的なんです。映画の中で島袋さんという方が「性行為は一体感、出産も一体感。女性は膣で全て受け止める」と話しています。あの方も吉村さんに出会って、この考え方は女性にこそ知って欲しいと思われて活動していらっしゃる方なんです。本当に大切な人を受け止めるのは膣であり、産道であり、赤ちゃんはその真綿のような柔らかいものにくるまれてこの世に誕生するんだとおっしゃっています。普通のお医者さんはそんな風に言わないですよね。

園田
そんなことをいうお医者さんはいらっしゃらないですよね。
映画の中で一人目のお産でひどい思いをされた方が、その後の子育てでも子どもが可愛いと思えなかったと言っていましたが、吉村医院で女性としての喜びを感じてお産をされた方は、生まれてきた子どもに対する感覚もやはり全然違うんじゃないかなと思うのですが、いかがでしょう。

河瀨
ああ、そうですね。一人目でそんな思いをされて、自分で方向転換して吉村さんのところに来られた人はまだ良かったなと思うんですが、その辛いお産を普通だと信じてあんな思いは二度としたくないって思ってしまうと、ちょっともったいないです。お産が女性の喜びだということを早いうちに知ることができればいいなと思います。お産で辛い思いをされた方は、子どものことは可愛いとは思っていても、納得のいくお産をした人とはどこか違う心持ちなのかもしれません。普通の病院でつるっと産めてよかったと感じる人もいるので一概には言えないですが、お産で味わった苦しみを抱えて誰にも言えずに堪えている人も結構いるのではないでしょうか。

産むための心と身体の準備

園田
映画の中に出てくるお母さん方は、お化粧などもほとんどしていらっしゃらないのに本当に綺麗ですね。ライトを当てたりしない自然な状態で撮っているんですよね。

河瀨
もちろん何もしていないです。綺麗なのは心の余裕や、自分の身体が産める身体に変化してきている喜びがあるからだと思います。そういう気持ちが表情にも出てくるんでしょうね。

園田
河瀨さんは1年間ほど吉村医院に通っていらっしゃったということですが、その間に表情が変わってきた妊婦さんはいらっしゃいましたか。

河瀨
はい。学生時代に見せられた保健のビデオがトラウマとなって出産を怖いと思われていた方などは顕著でした。初期は「私に産めるのかしら、吉村先生に頼るしかない」という、すごくおびえた感じでした。それが7、8ヶ月になってくると薪割りやスクワットなどもできるようになって、旦那さんも臨月に近づくにつれてどんどん笑顔で健康になってきているとおっしゃっていました。吉村医院の妊婦さんは全体的に妊娠初期の人は不安そうな顔つきをしていて、後期になるとみんなあっけらかんとした感じになっていくんです。

園田
どんとこいっていう感じですかね。臨月で薪割りにスクワット300回なんて本当にたくましいです。吉村医院に通っていると、産むための身体が本当にできていくんですね。妊婦さんは太らないですか。

河瀨
太らないです。1人目のとき20何キロ太ったっておっしゃっていた人も、映画の中の4人目のお産のときは、画面のとおりすっきりした体型でした。出産前は通うのにも1時間半くらい電車に乗って、駅からは30分歩いて、吉村医院で薪割りしてスクワット300回します。そして自宅に帰ってからは3人のお子さんがいらっしゃるなか家事も普通に2時間立ってこなしていらっしゃいました。すごいですよね。歩くのも早いんですよ。

園田
やはりその方はお産も楽だったんですよね。

河瀨
はい。するっと産まれていました。

園田
吉村先生が、「今のお産の異常は文化の異常だ」とおっしゃられていたんですが、あれはすごく納得できました。

河瀨
生物学的な女性の身体の異常ではなく、文化がそのように人間を変化させていっているという考え方も含めた意味ですね。お産という行為はずっと昔から続いてきている中で、医療の発展とともに、いつしか医療が中心となって行われるようになっている。お産と生活を切り離してお産だけを医学的に見ていくというのは間違いなのでしょう。しかし、現代文明の発展を拒否して過去に戻ることはできない。現代医療と昔ながらのお産、大事なのはそのバランスの取り方ではないかなと感じています。

対談「人がつながり、いのちはめぐる」第二部へ


※1
「玄牝(げんぴん)」:大河の源流にある谷神は、とめどなく生命を生み出しながらも絶えることはない。谷神同様、女性(器)もまた、万物を生み出す源であり、その働きは尽きることがない。老子はこれを玄牝—神秘なる母性と呼んでいる。
 
※2
「古屋」:吉村医院に隣接する古民家。妊婦さん達が集い、薪割りなどを行ったり、両親教室が開かれる場所。


河瀨直美さんプロフィール

奈良市生まれ。大阪写真(現ビジュアルアーツ)専門学校映画科卒業。劇場映画デビュー作「萌の朱雀」でカンヌ国際映画祭新人監督賞を史上最年少受賞。その後、「火垂(ほたる)」(2000年)「沙羅双樹」(2003年)「垂乳女⁄Tarachime」(2006年)などで映画祭での受賞を重ねる。「殯の森」は2007年カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞。2008年には初期ドキュメンタリー集DVDBOX「紡ぐ」をリリース、また新作「七夜待(ななよまち)」が公開された。2010年より開催予定の「なら国際映画祭」エグゼクティブディレクターを務める。

公式HP:
http://www.kawasenaomi.com/

「家族みんなで!あんしんシネマ」
「玄牝ーげんぴんー」は薬や医療機器に頼らない自然なお産に取り組んでいる「吉村医院」を舞台にしたドキュメンタリー映画。出産に対する今までのイメージが変わったという感想も多いこの映画を、普段映画館で映画を観ることから疎遠になっているパパ、ママにもぜひご覧いただきたいという意図で、一部の劇場で行われている取り組みです。「あんしんシネマ」の上映回では、非常灯や足元灯の点灯やおむつ替えスペースの設置など、子連れでも安心して映画が観られるような工夫がされています。


お知らせ

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Babywearing☆フォトコンテスト2011は終了しました。

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次号予告

対談「人がつながり、いのちはめぐる」第二部
映画「玄牝ーげんぴんー」でのお産に関して、実に深い内容だった第一部。第二部では河瀨さんご自身の子育て観などをお聞きしました。第二部もお楽しみに。


編集後記

あけましておめでとうございます。
お正月はいかがお過ごしでしたか。お餅を食べ過ぎて、おっぱいが張って大変だったという母乳のお母さんもいらっしゃるかもしれません。お餅の食べ過ぎで乳腺炎、ということもありますので気をつけてくださいね。
昨年に比べインフルエンザの流行はまだ小康状態ですが、一度かかってしまうと家族全員全滅ということもあります。赤ちゃんはもちろんお母さんお父さんもご自愛ください。
それでは、今年も北極しろくま堂とSHIROKUMA mailをよろしくお願いいたします。
 
SHIROKUMA mail editor: MK

EDITORS
Producer Masayo Sonoda
Creative Director Mayu Kyoi
Writer Mayu Kyoi, Masahiko Hirano
Copy Writer Mayu Kyoi, Masahiko Hirano
Photographer Yasuko Mochizuki, Yoko Fujimoto, Keiko Kubota
Illustration 823design Hatsumi Tonegawa
Web Designer Chie Miwa, Nobue Kawashima (Rewrite)
☆Happy Nurturing☆
HOKKYOKU SHIROKUMADO