北極しろくま堂メールマガジン

vol.233 注染(ちゅうせん)のへこおびをつくりました!


「完全発色注染」による伝統技法注染へこおびの開発


ついに、ついにやりました!

浜松の伝統工芸の手法、ゆかたを染める注染染め。
裏側もしっかり染まり、グラデーションが美しいこの染めをへこおびに使いたい。

ひとつの願いが叶いました。
 

Shirokumamail 11月号 浜松(静岡県)の伝統工芸の手法、ゆかたを染める注染染め。「完全発色注染」のあたらしいへこおびを作りました!

●伝統的な技法「注染(ちゅうせん)」とは

北極しろくま堂がある静岡県の西部地域は古くから繊維産業が盛んでした。特に遠州と呼ばれる現在の浜松市を中心とした地域では、明治時代以降に綿花栽培が盛んになり、繊維産業に関係する紡績や染色の工場もたくさんできました。

染めの技能の一つである「注染(ちゅうせん)」は文字通り染料を生地に注ぎながら染める日本独自の技法です。

浜松はゆかたの産地として知られており、100年以上前に技術が確立した注染は手拭いにはじまり、ゆかたのぼかしや色のグラデーションを表現することで普及し、全国に知られるようになりました。

 

Shirokumamail 11月号 伝統的な技法「注染」。染められた布は湯通しして通気がよいところで干していきます。

染められた布は湯通しして通気がよいところで干していきます

 

注染の特徴は、染料を生地の表面から裏まで通して染めるために、生地の裏が白く残らないことです。表も裏も同じように染まります。また大きな範囲でグラデーションをすることも可能です。

しかし弱点がありました。

手拭いがお好きな方は経験済みでしょうが、染料が残って色移りすることがあるのです。北極しろくま堂のへこおびは赤ちゃんが舐める可能性も充分あります。つまり赤ちゃんに使うためには、安全な染料を使って完全に染めて、かつ染料を残してはいけないといういくつものハードルがあったのです。

そこで、浜松の染工場の老舗「二橋染工」さんに相談しました。二橋さんとのおつきあいは10年以上前に手拭いを染めていただいたことから始まり、その後も時々工場を見学などさせていただきました。今回は二橋さんが開発した「完全発色注染」という衣料品と同じレベルに染められる特別な材料と手法を用いた方法を使って実現に至りました。

 

●染めの様子

型を使った染色は、まずは型をつくるためのデザインが必要です。今回は北極しろくま堂のデザインを長く担当してくれている823designの利根川初美さんが、サファリに暮らす動物の家族をイメージして制作してくださいました。

作業はそれをもとに型をつくるところからに始まります。今回は写真版で彫ってもらうことにしました。浜松には現在90歳の彫り職人さんが現役でいらっしゃるそうですが、その方が仕事を辞めてしまうともう手彫りはないそう。一度は手彫りもお願いしたいものです。

Shirokumamail 11月号 伊勢型紙の画像。今回製作した商品ではありませんが、こんなに細かい型もできるのです。

この画像は伊勢型紙で、今回のへこおびにつかったものではありませんが、こんなに細かい型もできるのです。

 

二橋染工さんではすべて手作業で行うため、普通生地屋さんで売っているような110cm幅の生地は染めることができません。そのためあらかじめ縫製工場でへこおびの幅に10m程度ずつ裁断したものを用いることにしました。

染工所ではまず布についているゴミやノリを落とすために熱湯で洗って乾かします。そこに型をぴったりとあわせて糊つけ職人さんが一リピートずつ染めたい箇所を残すために糊を縫っていきます。糊の粘度は生地に使っている糸の太さや撚り、混紡などを考慮して作っていくそうです。「夏は糊が締まらない」とおっしゃっていましたが、季節も考えて配合していくそうです。さらに一リピートずつ載せている糊がずれてはいけないので、かなり繊細な作業を繰り返しています。(今回の柄は型が2つあります)

ある程度の厚みになると、それにおがくずをつけて、染め職人さんが染めていきます。しろくま堂のへこおびはしじら織りのオリジナル生地を使っています。しじら織りは染めやすいとのことですが、生地の凹凸にもしっかり色が入るように気を付けているそうです。「やかん*を動かすだけが仕事じゃないんだよ」と職人さん。くーっ! かっこいい。

  

Shirokumamail 11月号 浜松(静岡県)の伝統工芸の手法、ゆかたを染める注染染め。「完全発色注染」によるへこおびの開発をしました。

グラデーションの色をみながら染料の量を調整しています。

 

全体にグラデーションの色をつけた後の生地は一度乾かしてから、再度型にそって全体に糊をかけます。そしてまた染め職人さんのところに持っていくのですが、今度は一回目と違って布の上に直接「糊ひき」をします。動画にあるように土手のような部分を作り、その中に染料を入れて下の装置から染料をシュッと吸い込ませます。こうすることで、染めたい箇所だけを染めることができるのです。

こうして何度も人の手を介して染められた生地は熱湯で洗いをかけ、再び干してやっと完成になるのです。

 

●北極しろくま堂と伝統工芸

北極しろくま堂ではこれまでほとんどの製品を日本国産品にこだわって作ってきました。

主なへこおびやキュット ミー!(スリング)は、こうした染色だけでなく、紡績や製織、縫製まですべて日本国内で行っています。おんぶ紐とハグリーノは国内の有名メーカーの生地を使って、国内で裁断縫製を行っています。いずれもしっかりとコミュニケーションがとれる、いざという時には現場まで見に行って直接確認できることを重要と考えています。

海外製が悪いわけではありませんが、私たちはこうして手作業をも取り入れることができる小さい会社、量産品でないことを強みと考えています。また、日本の産業を細々とでも応援できる立場であるからこそ、そこから離れないでいたいのです。そしてなによりも、これから成長する赤ちゃんとそのご家族に安心して使っていただける日本の製品をたいせつに考え、お届けして参りたいと思います。

今後も今回のように伝統の手法を活かした方法で製品づくりができないか、つねに模索していきます。

 

 

*やかん:染料の入った注ぎ口が細くなっているじょうろのような道具のこと。グラデーションをつけるときには、注いだ量と範囲を見極めながら動かしています。

取材協力

遠州織物工業協同組合 松尾様(2017年6月視察)

二橋染工場(2020年10月5日)
http://www.nihashi-tinta.co.jp/
*二橋さんに関しては「注染 浜松」などで検索するとたくさんの記事が掲載されています。

参考(2020年11月3日参照)

しゃかいか!
https://www.shakaika.jp/blog/23917/enshu_textile_tour/

静岡県郷土工芸品振興会 浜松注染染め
http://www.shizuoka-kougei.jp/craft/hamamatsu-chusen/

 

 

赤ちゃんとおしゃべりできる近さで寄り添う 北極しろくま堂 キュット ミー!

キュット ミー!オリンピアードシリーズ/ストーン 可動式中綿入り 新生児からの抱っこひも

キュット ミー!
綾織り オリンピアード/ストーン

価格:13,200円(税抜)
パパとの共用にも選ばれているスマートな色合いのストーン。「軽やかな黒」のイメージです。

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へこおび
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ふわふわと柔らかい肌触りのしろくまジャガート生地。上品な色合いのグレー×けし紫が人気です。

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ふんわりとしたグレージュは、赤ちゃんのよだれの跡やちょっとした汚れも目立ちにくいので、毎日のおんぶにぴったりです☆

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伸びない生地を使っているので、腰が痛くなりません。赤ちゃんがずれません。

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価格:11,000円(税抜)
新生児から使えるカンタン抱っこひも、ハグリーノ。落ち着いた色味の新色登場です。表に出す色で異なる雰囲気が楽しめます。

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【お知らせ】2020 だっことおんぶの大勉強会に参加します!

2020.11.22(日)10:00〜16:30に開催されるだっことおんぶの大勉強会に、北極しろくま堂も参加します。今年のテーマは、『 だっことおんぶで培う身体感覚 』。オンライン開催なので、どの地域に住んでいらっしゃっても電波があれば、ご参加いただけます。

北極しろくま堂も含め抱っこひもメーカー8企業が出展します。トークショーや個別のズームミーティングではそれぞれのメーカーの話を聴ける機会も!
赤ちゃんと過ごすこの時期。だっこやおんぶを違う角度から見ると、大変だなと感じることも面白い発見に変わるかもしれませんね。

 
<基調講演>
『アタッチメントが育む子どもの心と身体』 遠藤利彦(東京大学大学院教育学研究科・教授 発達心理学・感情心理学専門 )

<事例発表>
1.『だっこひもやおんぶひもの使い方による保護者のQOLの変化について』 西川明子(ベビーウェアリングコンシェルジュ/健康・子育て・生涯学習サークル W-project)
2.『1 ヶ月健診でのベビーウェアリングコンシェルジュの活動報告および母子に対するだっこの負担軽減方法の研究経過発表』 佐藤亜衣(ベビーウェアリングコンシェルジュ/NPO法人Umiのいえスタッフ)
3.『災害時のだっこおんぶの必要性について』 渡邉恵里香(ベビーウェアリングコンシェルジュ、防災士、ベビーダンスインストラクター)
4.『医療ケア児に対する安定に着目したベビーウェアリングとリラックスについて』 横山望美(助産師/ベビーウェアリングコンシェルジュ/小児訪問看護ステーションダイジョブ)

参加費
・当日参加チケット 抄録(印刷版)付・・・・・・・5000円
・当日参加チケット・・・・・・・・・・・・・・・・4000円
・アーカイブ(後日視聴・電子抄録)・・・・・・・・・・4000円
・抄録冊子別売り・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1300円

詳細やお問い合わせはこちらのサイトからどうぞ。
だっことおんぶの大勉強会 http://babywearingstudy.tokyo/2020-0509/
チケット申し込み https://daibenkyoukai2020.peatix.com/


次号予告
北極しろくま堂、これまでのノベルティ特集

2000年12月に主婦がひとりで始めた「北極しろくま堂」はこの12月に二十歳となり、21年目に入ります。ここまで続けてこられたのも、購入して使ってくださった数十万人ものお客様のお力です。そしてそれを支えてくれた職人の皆さんやスタッフのおかげです。ほんとうに感謝しています。

次号ではこれまでご提供してきたオリジナルのノベルティを特集します。すでに手元にないものもありますが、できる限り探してご披露します。オリジナル品が多いので、ちょっとマニアックな特集になりそうです(^^;)




【編集後記】

今号の特集はいかがでしたでしょうか?

北極しろくま堂のスリング、へこおびは紡績から染色・製織・縫製まですべてメイドインジャパン。
これまでにいろんな色や柄を販売してまいりましたが、
先染めの糸をタテヨコに組み合わせて模様や色を織り上げて生まれる生地にも、織織り上げたしじらを注染という伝統技法で後染めしていくことで生まれる生地にも、それぞれにしか出せない特徴があり、その工程は伝統的な産業に支えられているのだと実感します。
 
注染は浴衣や手ぬぐいなどを染める技法。赤ちゃんが小さなうちは浴衣でおでかけの代わりに、だっこやおんぶで、注染をまとってお出かけしてみませんか。
どうぞ、発売をお楽しみに♡


SHIROKUMA mail editor: NK

EDITORS
Producer & Creative Director Masayo Sonoda
Writer Mai Katsumi, Masahiko Hirano, Masayo Sonoda, Asami Yagi
Copy Writer Mai Katsumi, Masahiko Hirano
Photographer Yasuko Mochizuki, Yoko Fujimoto, Keiko Kubota
Illustration 823design Hatsumi Tonegawa
Web Designer Nobue Kawashima