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vol.254 抱っこやおんぶをするとなにがどういいの?

vol.254 抱っこやおんぶをするとなにがどういいの?
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毎日毎晩赤ちゃんを抱っこし続けている世の中の親御さん。ほんとうにご苦労様です。抱っこやおんぶがもたらす効果について論文を紐解きます。

布団に寝かせたら泣いちゃうからずっと抱っこしている→左腕が筋肉痛になる→手首が痛くなってくる。トイレにも行けず、ごはんも抱っこしたまま食べているママ・パパの皆さんへ、抱っこやおんぶは赤ちゃんの成長や心身の発達に良い効果があるんですよ。これを読めば、今の苦労が報われます。

この記事は以下の論文を翻訳し,重要な部分を紹介したものです。
Babywearing Practices and Effects on Parental and Child Physical and Psychological Health
H. Norholt, R. Phillips, J. McNeilly, and C. Price, Pediatrics & Neonatology, 2020

ベビーウェアリングとは,ある程度密着して抱っこやおんぶをすることです。

抱っこは短期から長期にわたり効果がある

これまでのベビーウェアリング(抱っこおんぶをすること)の研究ではすでに以下のことがわかっています。

抱っこやおんぶは,
(1)適度な愛着の形成
(2)母乳育児の継続
(3)乳児の睡眠環境の改善
(4)産後の母親のうつ症状の改善
(5)乳児の泣き声の減少(あまり泣かさない)

また,1日1時間,移動以外の目的でベビーウェアリング(抱っこまたはおんぶ)すると,母乳育児と乳児の社会性の発達によい影響があることがわかっています。
例えば,掃除や炊事のとき,散歩のときに抱っこやおんぶをすると良さそうです。

抱っこ・おんぶの状況と成長に対するメリット

肌と肌をつけることは,愛情ホルモンと呼ばれるオキシトシンやセロトニンを分泌することが知られていますが,衣服を着ながらでも抱っこ(おんぶ)すると同じような効果がありそうです。
出産後数ヶ月の間,抱っこひもを使って毎日抱っこされている子は,安定した愛着を形成できる可能性が高く,無秩序な愛着を持つ可能性は低いということがわかっています。
また,乳児期に安定した愛着をもてた子どもは,9年間にわたって追跡調査した結果でも健全な親子関係を保っていることもわかっています。

母乳育児の継続へ

WHOでは2歳以上まで母乳を与えることを推奨しています。(1歳で卒乳はもったいないですよ♪)

生後 1 時間以内に母乳育児を開始し、6 ヵ月間は完全母乳で育て、2 年以上母乳育児を続けることができれば、衰弱や肥満など子どもを栄養不良から守ることができます。また、母乳育児は赤ちゃんの最初のワクチンの役割を果たし、多くの一般的な病気から赤ちゃんを守ります。

日本WHO協会 https://japan-who.or.jp/news-releases/2108-6/

ベビーウェアリングによる身体接触の増加は,母乳育児の頻度を高め,母親の母乳分泌を確立・維持し,赤ちゃんに最適な栄養を保証することに役立ちます。

泣く時間が減少する

ロンドンとコペンハーゲンで行われた研究では,親子の接触時間が毎日長い傾向にある子と,そうでない子を比べると,泣きやむまでの時間が相関していたことがわかりました。よく抱っこされている子は,わりと短い時間で泣きやみやすいそうです。

また,抱っこして早歩きをすると泣きやみやすいことは,こちらの記事でも紹介していますので,ご存じですよね。

赤ちゃんが寝るようになる

37週以降の満期産で生まれた赤ちゃんに対する研究ですが,生後2日で肌と肌を合わせて抱っこした子 vs ベビーベッドに別々に寝かせた子では,抱っこチームの子は静かに眠る時間が7倍に増加したそうです。
生まれたあとに睡眠がスムーズだと,生後1年の時点でも睡眠に問題が少ないらしいので,これはぜひとも実施したいものです。母乳を直母で与えているとスキン・トゥー・スキンになりますね。

社会性の発達

社会性の発達とは,将来社会的に人との人のつながりのなかでうまくやっていけるか,という部分です。相手の気持ちや状況が理解できて,それに対応できる能力などを指します。
抱っこやおんぶ(ベビーウェアリング)をされていると,あまりされていない子どもに比べて,生後数ヶ月の時点で応答が早くなっているという研究結果が確認されています。
それは,信頼できる養育者の顔と周りの環境を両方同時に見る時間が増えるからだと考えられています。

また親にもよい影響があります。赤ちゃんと信頼関係を深く結べることが期待できるのです。抱っこをしていると,赤ちゃんの状態を全身で感じられ,お顔も近くにあってよく見えます。それによって,赤ちゃんの状態(快か不快か,眠いのか空腹なのか)などがわかるようになりやすく,それによって対応が早くなり,より信頼関係を結べるからと考えれています。

適切な抱っこやおんぶは身体の発達に有利

適切にベビーウェアリングをしているときの赤ちゃんの脚の広がりは,股関節の発達に最適な状態になります。しかし,腰や脚がまっすぐになっている状態は,あまりよいことはありません。また,ベビーウェアリングは頭部の変形にも有効に働きます。

健全な股関節の発達

生後半年くらいの赤ちゃんの最もよい姿勢は,以下の通りです。
・股関節を100-110度くらい屈曲させている
・それぞれの脚を約40度外転させる
と,言われてもわかりづらいですね。こんな姿勢です↓

Figure 1: Infant hip position when carried on a female caregiver’s hip.
Figure 2: The infant spread-squat position or “M-position”

Figure1は,新生児では難しい体位なので注意してください。
Figure2を見ると,脚を水平に広げて腰が引けている状態はあまりよろしくないことがわかりますね。

頭部変形の予防

頭部の変形を気にした芸能人のかたがお子さまに治療用ヘルメットをさせていて,それがニュースになったことで一般的にひろがってきたようです。

ですが,赤ちゃんを縦方向に抱っこすると,あお向けに寝かせている時間や平らな面に頭をおいている時間が短くなるので,斜頭症のリスクを軽減します。
縦方向の安全な抱っこをしている親御さんは,首すわりが早いと感じることが多いようですが,親が動くことで赤ちゃんは自発的に頭部のコントロールを覚えていくことになります(もちろん,抱っこ中は頭部を抱っこひもで支えています)。

あお向けに寝かせ続けていることは,情緒の発達にもあまりよくない影響もありそうなので,そういう点でもベビーウェアリングは有効だと考えられます。

抱っこひもの種類

抱っこひもにはさまざまな種類があります。

Figure 4: Types of commercially available infant carriers

抱っこひもはいくつかのグループに分類されます。ベビーラップ,リングスリング,パウチ,構造化されたソフトキャリア(SSC),その他などです。

どの抱っこひもであっても,赤ちゃんが自分の頭部と体幹をコントロールできるようになるまで(首すわりと腰すわり),首から膝までを支える必要があります。膝までしっかり支えて,膝がお尻より高くなるM字型の姿勢で抱っこしてください。

(また,そのような姿勢になれる抱っこひもを選んでください)

スリングなどの布製抱っこひもでは,横向きに寝かせる抱き方は推奨されていません。窒息の危険が高くなり,大腿部を固定するために,股関節によい影響を与えません。

前向き抱っこは注意が必要

前向きの抱っこは赤ちゃんの腰がまっすぐになりがちで,脚が広がりにくく,股関節の発達に最適ではない状態になりやすい傾向があります。また,赤ちゃんが不安な状況におかれても親(養育者)の顔をすぐに見ることができないため,過度の刺激が与えられてストレスが増える可能性があります。前向きの抱っこは上記の理由から短時間・短期間にすることが推奨されています。

前向き抱っこについては,こちらの記事でも紹介しています。

感想

この研究はオランダとアメリカの共同研究のため,日本の状況と少し合わないこともでてきます。例えば,日本では泣き続ける赤ちゃんを放っておくという選択肢は,親御さんが相当精神的に追い詰められないとしないのではないかと思いますが,そうではない文化もあります。
また,日本では抱っこ紐を持っているご家庭はほぼ100%だと思われますが,そうではない文化もあるのです。
いずれにしても,ベビーウェアリングはさまざまなよい効果があるので,よい状態でできるようにひろがってほしいです。
赤ちゃんの状態がどうなることが成長発達によいのか,そうしたことを理解しているメーカーやブランドから購入することをお勧めします。
北極しろくま堂,お勧めですよ!!

*この論文では,ある程度密着して抱っこすることをベビーウェアリングと言っています。医療用語ではInfant Carryingというのが正式だそうですが,現在一般的に広く使われている言葉としてベビーウェアリング(Babywearing, BW)と呼んでいます。

今月のおすすめ商品

キュット ミー!(スリング)

人類はほとんどスリングで育ってきたと言われています。
現代のスリングは色も豊富でリング付きになりました。大きくなってきたら腰に抱ける(Figure 1)ので、子どもは周りを観察しながらも養育者に守られている状態になり社会性の発達につながると考えられています。

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へこおび

新生児から使えるへこおびはFigure 2のベビーラップの簡易版といった存在。日本では古くからおんぶをする帯として使われていました。M字開脚で抱っこやおんぶができます。

へこおび商品情報はこちら


昔ながらのおんぶひも

江戸時代に日本を訪れた外国商人は日本の子どもたちがこんなにも賢いのは、いつもおんぶされて周りを見ていたからだと考えました。
毎日の家事やお散歩もおんぶでやってみませんか。

昔ながらのおんぶひも商品情報はこちら

ニートゥーニーサイズは紐を使えば一時的にパネル(背当て)の幅を狭くすることができます。いずれ大きくなる赤ちゃん、ニートゥーニーサイズを工夫して使うこともできます。

EDITORS
Producer Masayo Sonoda
Creative Director Mai Okai
Writer Mai Katsumi, Masahiko Hirano
Copy Writer Mai Katsumi, Masahiko Hirano
Photographer Yasuko Mochizuki, Yoko Fujimoto, Keiko Kubota
Illustration 823design Hatsumi Tonegawa
Web Designer Nobue Kawashima