抱っことおんぶ、どういうときに使い分ける?


赤ちゃんとの生活には抱っこやおんぶが不可欠ですが、どっちを優先していいのかわからないという声を聞きます。またおんぶを嫌がる赤ちゃんや抱っこをしても落ち着かない子もいます。

この記事ではおんぶと抱っこの使い分けについて悩んでいるお母さんに、すっきりわかる解決方法を教えちゃいます!

  1. おんぶと抱っこの違ってなに?
  2. おんぶと抱っこのそれぞれのメリット・デメリット
  3. 抱っことおんぶを使いわけるポイント
  4. もっと抱っこやおんぶを快適に!

1.抱っことおんぶの違いってなに?

昭和50年代には「前おんぶ」という謎の言葉も登場した抱っこやおんぶ。その実態とはどういうものでしょう。

「前おんぶ」。赤ちゃんを気に掛けること=「おんぶ」+「胸の前で抱っこ」することを表しているようです

1-1.抱っこはいつまで? おんぶはいつから?

赤ちゃんをお世話するには抱っこを避けることはできません。ヒトの赤ちゃんは授乳もあやすのもほとんど抱っこで行われます。赤ちゃんは自分の脚で歩けないので、移動させるのも抱っこですね。

ではその抱っこはいつまでするものでしょうか。

小学生になると抱きあげることはなくても、お膝の上で抱っことかギュッと抱きしめるという行為は続くでしょう。

でもアメリカで言われているように「そんなに抱っこしていると20歳になっても抱いていなきゃいけないよ」という脅し文句は当てはまらないでしょう。だいたい小学校入学までは時折抱っこの機会があるくらいと思っておいてよさそうです。

反対に幼い頃に抱かれた経験が少ない子で思春期前後に問題行動を起こす場合は、小中学生になってもういちど抱っこから親子関係を構築し直すことがあるようです(*1)。

おんぶは首がすわってからでないとできません。首がすわった確認ができるのは生後4カ月の健診です。

昔の風習を調べていると、お宮参り(地方によって多少の差はあるが、概ね生後30-31日ごろ)には「おんぶして神社に行く」という地域があったようです(*2)。これはねんねこ袢纏のような赤ちゃんの頭部を覆い被すような衣服があったからできたことだと思われます。

筆者の感覚では、おんぶの終わりは抱っこよりは遅いように思います。小学生になっても甘えたいときや遊びの中でおんぶするというタイミングがでてくるように思われますので、ママやパパの背中はちょっと長く使えるように体力を残しておきたいものです。

*1:『子どもへのまなざし』福音館書店/佐々木正美/1998
*2:『児やらい』民俗民芸双書/大藤ゆき/1968

1-2.赤ちゃんへの影響

赤ちゃんにとってママやパパに移動させてもらうというのは、生命維持活動にとって必要なことです。でも抱っこやおんぶには単に生かすという以上の意味があるようです。

抱っこやおんぶは身体の接触をともないますが、赤ちゃんは”触られて+ポジティブな感情を持ち+言葉を聞く”と認知能力が向上するらしいということが最近の研究でわかってきました(*3)。

難しいことを知らなくても、おんぶされたことがある人ならおんぶの時の背中の暖かさや安心感を覚えている方もいるでしょう。うまくフィットしておんぶできたときは、親もラクだし、子どもも安心するようで「ぴったりくっついてくる」という感想を言う方も多いです。欧米のおんぶは日本のものとちがってBack Carryという考え方が強いです。背負子(しょいこ)に座らせていると表現すればイメージが伝わるでしょうか。

日本のおんぶは親と子が同じ世界を体験できるという他にはない良さがあります。一方ではママの怒った顔や泣いている姿を見せないこともできるのです。親子が一体となって全体がゆるく繋がった状態なのです。

横浜の『Umiのいえ』が素敵なおんぶのスライドショーを作りました。ぜひ観てください。(音がでます)

*3:http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2017/171215_1.html

2.おんぶと抱っこのそれぞれのメリット・デメリット

2-1.抱っこのメリット

赤ちゃんのお顔を確認しながらあやせることでしょうか。抱っこはメリット云々言わなくても、現実生活で抱っこせざるを得ない状況がたくさんありますよね。

素手の抱っこでも脚をしっかり開脚させて、身体をぴったりくっつけてあげると安心して泣き止む赤ちゃんが多いです(*4)。首がすわらなくても縦方向で抱っこできますので、無理に横抱きを続けなくとも大丈夫ですよ。

抱っこ紐を選ぶ時にもスリングへこ帯のようなできるだけ赤ちゃんと密着できるものを選ぶと良いでしょう。

*4:もう怖くない! 新生児赤ちゃんの抱き方と、心地よく、泣き止ませる抱っこ→リンク

2-2.抱っこのデメリット

特に首がすわらないうちは頭部を支える必要があるために、両手がふさがってしまうことです。またお尻を掌(てのひら)で支え続けていると腱鞘炎になりがちです。

新生児の抱き方を実際にやってみましょう。

写真は掌で支えていますが、腕をぐっと差し込んで手首を使わないようにしましょう

鏡で見るとつい赤ちゃんに目が向きますが、ご自身の立ち姿勢をみてください。片方の肩が上がっていませんか。掌で支え持とうとしていませんか。いちどふーっと息を吐いて肩の力を抜いてみましょう。抱く人が緊張していると、その緊張が赤ちゃんにも伝わります。赤ちゃんはとても賢いのです。

抱っこ紐を使っている場合は、注意点もあります。赤ちゃんを運搬するために作られた抱っこ紐は密着しない構造が多いのですが、落下を防止するために複数のベルトやバックルがついています。毎回のことになるとけっこう面倒になってベルトを適正に使わない方が多いのですが、危ないので全てのベルトをしっかりしめて調整しましょう。

2-3.おんぶのメリット

両手があく! まずはこれじゃないでしょうか。夕ご飯作りたいのに、掃除機かけたいのになかなか進まないとイライラしてしまいます。

上手に高い位置でおんぶができると、そのままトイレに行けるのも嬉しいです。

赤ちゃんとおんぶする人が同じものをみて世界を共有できることも、赤ちゃんの心の発達にはとてもプラスに働きます。

高い位置でおんぶができるのは、日本のおんぶ紐やへこ帯です。ベビーラップは一部のおぶい方なら高い位置のおんぶができます。

2-4.おんぶのデメリット

低い位置でおんぶされている場合は隙間が多いので落下しやすくなる、お子さんが進行方向を見づらいということがあります。ママの背中しか見えなければなにをしているかわからないので、左右のどちらかを向いているしかありません。子どもの立場になってみれば暇でしかたないかもしれません。

3.抱っことおんぶを使いわけるポイント

3-1.家事や外出のシチュエーション

抱っこは子育ての全般でおこないますが、おんぶは主に作業をする時に便利な方法です。もともとはおんぶは家事労働や農業などの作業と子守を両立するためにおこなっていたものです。

外出時:電車に乗るなどの移動時にはベビーカーがあるならスリングを肩にかけておくとたいへん便利です。「抱っこしてー」ですぐに抱っこできますし、抱っこに疲れてきたらベビーカーに乗せて移動を続けることができます。車移動の場合もスリングだとひもが地面を擦らずに抱っこも降ろしもできます。

外出時のおんぶは赤ちゃんがずっと寝てくれているなら良いのですが、途中で降ろしたり授乳することは逆に手間が増えます。おんぶの動作に慣れている方はものの30秒でおんぶすることができますが、今日お出かけするから今日からおんぶというのは難しいものです。
長い時間になってもおんぶに慣れている子なら大丈夫でしょう。

3-2.月齢・年齢

首がすわらない時期:抱っこしかありません。この時期はベビーカーも大きなものになりますので、外出はたいへんですね。スリングやへこ帯が使えると、荷物もコンパクトになるし階段やエスカレーターも使えるのでラクというママさんは多いです。この時期は特におうちでの寝かしつけにスリングを使う方は多いです。

首がすわってから:抱っことおんぶの両方が可能です。お家ではおんぶ、外出は抱っこと切り替えているママもたくさんいます。「今はおんぶを見かけないわね」といわれる年配の方が多いのですが、それは外出におんぶをしていないだけで家ではおんぶの方は健在なのです。30年くらい前は子育て=おんぶ一択だったのが、バリエーションが増えたということです。

3歳以降:もう抱っこやおんぶの道具はいらないでしょう、と思われるかもしれません。が、実は外出先で寝てしまったとか具合が悪くなって歩けなくなったということもよくあります。こういうときにはへこ帯が使えるととても便利です。抱っこもおんぶもできるし、スリングにもなります。へこ帯は災害時の避難にも使えます。

もしあなたがBabywrapを使えるなら、冬ならばショートサイズのラップをストール代わりに持っていると便利です。寒ければ首に巻いて、抱っこやおんぶもできますよ! 使い方はこちらをご覧ください。

4.もっと抱っこやおんぶを快適に!

4-1.肩こりしやすいママにお勧めのグッズ

肩こりしやすい方はパッドに厚みがある北極しろくま堂のキュット ミー!をお勧めします。スリングは片方の肩にかけているので肩が凝りそうに見えると言われることがありますが、実際は背中で支えているので肩への負担はそれほどありません。逆に肩に負担がかかっていると思ったら、体重が分散されておらずうまく使えていないと思っていただいた方が良いです。

あとはMei TaiとBaby wrapが融合したラップタイもお勧めです。

抱っこ紐だけどラップの安定感があるWrap Tai

帯が広くて支える面積がたくさんなので、身体の一部に負担がかかることはありません。

SSCで選びたいなら、海外のサイトまでチェックしてみてはいかがでしょうか。海外のラップメーカー(たいていは中〜小規模のメーカー)はそれぞれ個性的な商品を出していますが、ベビーラップの柔らかい生地でSSCを作っているところも多いです。それらはママと赤ちゃんの体にフィットして使いやすいものが多いです。

4-2.腰痛ママにお勧めの抱っこ紐・おんぶ紐

腰痛がひどい方が最もラクに使用できるのは、生地にもある程度厚みがあるBaby Wrapです。赤ちゃんにも使用者にも何枚も布を重ねるのでホールド感は半端ないです。体全体で支えてるという感じがします。

初心者には難しく思えるかもしれませんが、キモノと同じで”慣れ”なので何度か練習してみましょう。使い方はこちらでご確認くださいね。

抱っこして腰が痛くなる原因の多くは、抱っこしている間にずっと腰を反った姿勢でいることが多いです。抱っこ紐が緩かったり大きかったりして、赤ちゃんを落としそうな感触があるために、無意識のうちに自身の身体を反らせることによってそれを防ごうとしています。

まずはストラップやベルトなどをしっかり締めて装着してみてください。エルゴベビーなどを使用している方は、骨盤の横に腰ベルトを添わせるのではなく、ウエストに締めてベルトが地面と水平になるように調整しましょう。そうすると赤ちゃんの位置がだいぶ上がってくると思いますが、それが正解の位置なのです。赤ちゃんの頭で足下が見えづらくなりますが、日本人は世界的にも小柄な方が多いので仕方がありません。そういう場合はおんぶで使うと良いでしょう(あるいはパパ専用にするとか)。

まとめ

ふー。だいぶ長い記事になりました。

抱っこもおんぶもどちらが良くてどちらかが悪いということはありません。過去にはおんぶは脚ががに股になるとか、抱きぐせがつくから抱かない方がいいなど、様々な言説がありましたが現在ではすべて否定されています。

科学的には抱っこやおんぶについての研究は途上であるものの、触れることや揺れることは赤ちゃんにとって良い影響があるようです。今は抱っこやおんぶの姿勢の取り方や脚の開脚の仕方などについて、科学的に解析されつつある段階です。

あ、そうそう。首がすわらない赤ちゃんを横抱きにしたり股に手を入れるのは1980年代半ばからはじまった「日本の文化」で、医療的にはそれほど意味はないんですよ。


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