前向き抱っこをおすすめしない3つの理由


前向き抱っこスリングやベビーラップではさまざまな抱き方ができます。スリングでは腰がしっかりしてからの一時期だけ前向き抱っこができます。ラップでは30以上もの抱き方やおぶい方があるにもかかわらず、前向き抱っこのやり方はほとんど紹介されません。
なぜでしょうか。
世界中の抱っこやおんぶの仕方などを教えているしている団体では、前向き抱っこは推奨していません。それにはたくさんの理由がありますが、今日はそのうちの主な3つの理由についてご紹介します。

1.刺激が強すぎる

1-1.視覚刺激

薄暗いおなかの中から出てきた赤ちゃんが正面切って抱かれることによって、より多くのものを一度に見ることになります。それだけでなく、自分のカラダよりもはるかに大きなモノや人がどんどんと迫ってくる状況を受け続けなければなりません。
想像してみましょう。まだ近いところしかよく見えない生まれたばかりの赤ちゃんは、抱っこされたときや授乳の時にお母さんのお顔がよく見えるような視力なのだそうです。そのような世界にいる赤ちゃんが靄の中から人やモノが急に迫ってくるような状態ではずっと驚いていなければなりません。

1-2.音やにおいの刺激

特に小さい時期の赤ちゃんはざわざわしている音は意外と平気のようです。例えばおなかの中のような恒常的な音は赤ちゃんは意外と大丈夫で、むしろ寝ていたりします。しかし何かを叩いたりモノが床に落ちるような突発的な音には驚いて反応を示すでしょう。
前を向いて露払いをしている赤ちゃんは、自分の前面から音を受け、匂いなどの刺激を受け続けなければなりません。進行方向に向かって背中を向けているような抱っこなら音や匂いも少し緩和されることでしょう。

2.姿勢の問題

2-1.開脚はOKだが

特に新生児期〜生後4カ月ごろまで、なかでも日本の赤ちゃんは先天性股関節脱臼をしやすいことがわかっています。(特に女児)
開脚していることは大切なことですが、ただ開いているのではなく、「お尻が後方に少し沈んで」開脚していると理想の体勢になります。同時に膝から足先までが自由に動かせることが良いとされています。(1)
前向き抱っこ(スリングでのカンガルー抱っこ)は腰がすわってからの時期に短時間を楽しむことは良いとされていますが、長時間・長期間は推奨されません。なぜなら脚がいつも上方を向いた状態で固定されてしまうからです。
赤ちゃんが自分の脚を発見して舐める時期なら良いですが、小さすぎる時に脚の動きを長時間制限したり、大きくなってからも体を二つ折りにするような体勢はあまりメリットがないとされています。
抱っこひもによっては前抱っこをすることで赤ちゃんの骨盤が後傾する姿勢を取らざるを得ないという報告もあります。(2)

2-2.つり下げられるのは苦しい

抱っこひもによっては赤ちゃんの股間を支えてつり下げるような格好で抱く商品もあります。
抱っこひもを使って赤ちゃんが心地よいかどうか判断に迷ったときには、〈自分が同じような姿勢を取らされたらどう感じるか〉を想像してみましょう。おむつをして多少食い込みはないとしても、背中は親に持たれているとしても、でも股間で支えられるのは気持ち悪く感じないでしょうか。男の子の性器には影響はないでしょうか。
股で支える抱っこひもでは、脚が伸びがちになります。すると背筋も伸びてしまいCカーブが維持できません。
とにもかくにも、単純に考えて股で支えられるのは辛い体勢ではないでしょうか。

最近大手メーカーが販売している前向きができる抱っこひもは、赤ちゃんが座るような姿勢をとれるように設計されているものもあります。それならば赤ちゃんの姿勢は多少快適かもしれません。前向き抱っこをすると重心が前方に移動するので、使用者は腰を反るような姿勢を続けがちです。腰痛の原因になりますので使用者はご注意ください。

3.安心感と冒険心と

3-1.子どもはおなかを守られることで安心する

不安なときや怖いときに人は自然とおなかや頭を守るような屈んだ姿勢をとります。これはどの文化圏でも同じようです。驚いたときに大きく手を上げることはありますが、その後不安になると縮こまるでしょう。
はり付けにされたような姿勢を続けることで守られているという感覚は得られにくいようです。

3-2.成長段階によっては有益なこともある

赤ちゃんの視力がよくなってきて、世の中の音にも慣れてきた生後半年の頃は好奇心が旺盛になって様々なものを見たい触りたいという欲求が増えてくるでしょう。
そのような脳も発達している時期に短時間前向きに抱っこして外を積極的に楽しませることは、発達にもよい影響があると考えられます。

まとめ

赤ちゃんが前を向いていると周囲の人からも注目されやすく、「かわいいね」などと声を掛けられやすくなります。赤ちゃんのコミュニケーションのためにも良い事のように思えます。
しかしながら刺激過多な状態や無理な姿勢を続けることは、赤ちゃん全体の成長に対しては手放しによいとは考えにくいです。
前向き抱っこは短期間、短時間に楽しむもので、赤ちゃんをずっとそのように抱き続けることはあまりお勧めできません。

資料
(1) International Hip Dysplasia / http://hipdysplasia.org/developmental-dysplasia-of-the-hip/prevention/baby-carriers-seats-and-other-equipment/
(2) 6 Reasons to avoid forward facing baby carriers / Belly belly in baby / May 29, 2015

その他
facing in? facing out? a science-based view on baby carrying positions / http://blog.ergobaby.com/2011/02/facing-in-facing-out-a-science-based-view-on-baby-carrying-positions/
 Nine Reasons Not to Carry Your Baby Facting Out / Elizabeth / Oct 11, 2011


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