おんぶを嫌がる赤ちゃんへの対処法


首がすわっておんぶができるようになったら家事がはかどりそう! と期待していたママがおんぶしたとたんに赤ちゃんの抵抗にあいがっくり・・・。
うちの子はおんぶが嫌いなのかな?
なんて悩んでいませんか。
今日はおんぶを嫌がる赤ちゃんのその原因と対処法を紹介します。

1 おんぶが好きな赤ちゃんと嫌いな赤ちゃん

同じ月齢でもおんぶが大好きでおんぶ紐を見せただけでにこにこする赤ちゃんもいれば、やっと背中に乗せられたのに嫌がって抵抗する赤ちゃんもいます。どうして赤ちゃんによって違うのか考えてみましょう。

1-1 「見える」おんぶと「見えない」おんぶ

首がすわった赤ちゃんは月齢にしてだいたい3カ月から4カ月くらいでしょうか。メーカーによってはおんぶは「腰がすわってから」としていることもあり、そうなるともっと大きいでしょうね。

その頃の赤ちゃんは視力もよくなっているので、周りの物事に興味津々です。

実はおんぶには赤ちゃんが周りを見渡せるおんぶと左右しか見えないおんぶがあります。これはどちらもそれぞれの文化や体型、環境の中で培われてきたことなので優劣を付けるものではありません。

しかし、赤ちゃんの視線(視界)には少なからず影響がありそうなので次項で詳しく解説しましょう。

1-2 日本のおんぶは世界的にも珍しい

昔ながらの日本式のおんぶ紐は胸の前でバッテンになりますが、高くおぶうことができます。昔は授乳中(子育て中)の女性の胸なんて性的な興味の対象にはならなかったようですし、着物も着ているのでばってんは気にならなかったかもしれませんね。江戸時代には女性も上半身裸で夕涼みしていますものね。

こういうばってんおんぶの場合は赤ちゃんは抱っこされているときよりも更に見通しがよく、ママがやっていることもよく見えます。真似をするのはヒトの特徴ですが、真似をするには先にそれを見たという経験が必要。好奇心もあいまって、昔ながらの日本のおんぶなら赤ちゃんにとっても楽しい時間になるでしょう。

一方、アフリカ人に住む民族もおんぶをしますが、骨盤が前傾しており、突き出たお尻の上に赤ちゃんを乗せてからだを布で包むという状態のおんぶになります。アフリカの多くの民族は伝統的に農業や漁業の作業をするときに腰を曲げて前にかがむ姿勢をとることが多い(日本人は前屈もするが、その時は膝もまげる)ようですが、骨盤前傾のアフリカの方々には長時間この姿勢をとっても苦にならないそうです。そうなると子どもは完全にお母さんの背中に乗る格好になり背中にもたれることができますよね。これは骨盤前傾という体型を活かした方法であり、前屈姿勢のまま長時間過ごすという環境を活かしたものです。体型と作業環境が違う日本人にはこの方法は危険すぎますし母子への負担が大きくなります。
(参考:〈運ぶヒト〉の人類学 (岩波新書) 新書 – 2014/9/20・川田 順造 (著))

基本的にストラクチャータイプのおんぶひも(抱っこ兼用も)はアフリカ系のおんぶを手本にしているので、高い位置におぶうことはできず、赤ちゃんはママの肩胛骨のあたりしか見えないことになります。つまり左右しか見ることができませんし、お母さんが赤ちゃんに声を掛けることもできない位置です。良い悪いではなく、おぶう文化としてこのようなものになっているということです。アフリカのママ達は現代日本とは違う方法でコミュニケーションしていたのでしょう。

1-3 姿勢が気に入らない

本来の赤ちゃんは背中全体がCカーブになっている状態が自然ですが、背中がこっていたりすると背中を丸くすることを拒否することがあります。おぶわれている時には寄り添っているなら背中が丸くなるので嫌がります。反対に低めの位置のおんぶで背あてにもたれているなら背中を伸ばすことは可能です。しかしぶら下げている状態だとママの肩に負担がかかるので、ママの肩がこりやすくなることはあります。

2 おんぶを嫌がられないための方法

2-1 丸い姿勢を嫌がるならマッサージが効果的

「うちの子、丸く抱っこされるの嫌がるんです」というママに時々お目にかかりますが、たぶん赤ちゃんの背中がこっています。そういう場合はおんぶよりも先にマッサージなどをして背中のかたさを和らげてあげたほうが赤ちゃんにとってメリットがあります。ヒトの姿勢として背中が反っている方が楽というのは不自然であることが多いです。

2-2 背中から見える景色を楽しませる

アフリカ式のおんぶを腰を曲げずに(かがまずに)続けるのであれば難しいのですが、日本式のおんぶなら赤ちゃんはママのやっていることをずっと見ていられます。またママは赤ちゃんに話しかけたりあやしたりすることができます。

人類は労働や移動と赤ちゃんの世話は両立してきたと考えられますが、アフリカや日本はともかく、現在は抱いたりおぶい続ける習慣のないヨーロッパの人々が1万年前にどうしていたのかは知るよしもありません。しかし赤ちゃんの成長には何らかプラスになる方法があったと考える方が自然です。

人類学の分野で明らかになるといいですね。

2-3 上手におんぶするコツ

おんぶひもの構造によっておぶう方法は様々なので、それぞれメーカーの提示する方法で使用してください。重要なのはおぶったらちゃんと紐の長さなどを調整することです。昔ながらのおんぶひものような紐のみのものはおぶうときに密着感などを調整し終わりますが、ストラクチャタイプのものはストラップを引き締めてママと赤ちゃんがなるべく密着するように調整するのが大前提で設計されています。
ここが緩いと転落の原因になるので、必ず調整はしてください。

筆者の観察では日本のお母さん達は赤ちゃんのおぶい方がとてもマイルドです。
例えばアメリカのベビーウェアリング・インストラクターがwrapでおぶう時の動作を(動画開始35秒あたりから)ご覧ください。

筆者もアメリカで初めてこの動作を目の当たりにしたときには驚きましたが、おぶわれている赤ちゃんはちょっと楽しそうで笑ったりしていました。その様子を見て日本の私たちは神経質なのかなとも思ったり・・・。
また、ペルーのお母さんがおぶう方法もイラストでご紹介します。

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おわりに

いかがですか。おんぶは家事と子育てが両立できるすぐれた方法です。

食事を作るときにも、にんじんを切りながら「ひとつ、ふたつ・・・」と見せながら話しかけながらやっていけば、1歳になる頃には数のことや調理のことを理解していますよ。

ぜひみなさんやってみてくださいね。


この記事の執筆者

園田正世(そのだまさよ)
北極しろくま堂有限会社 取締役

北極しろくま堂有限会社 取締役 園田正世(そのだまさよ)

2000年〜北極しろくま堂有限会社 取締役
2010年〜非営利活動法人だっことおんぶの研究所 理事長
2013年〜本格的にベビーウェアリング(抱っこやおんぶ)の研究を続けている。
東京大学大学院学際情報学府博士前期課程修了
同大学院博士後期課程在学中

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