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vol.103 対談「小さな芽をふきますように ~震災後私たちができること~」第一部

vol.103 対談「小さな芽をふきますように ~震災後私たちができること~」第一部
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昨年の東日本大震災により被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
昨年3 月11 日以降、北極しろくま堂は一企業として何をすべきかを問い続けていました。
そして、この度本メールマガジンにおきまして、震災に改めて向き合う対談を企画しました。
震災から1 年が経とうとしている今こそ読者の皆様とともに、
もう一度この大きな災害について考えます。

コピーライター 糸井重里氏 × 北極しろくま堂店主 園田正世
対談「小さな芽をふきますように ~震災後私たちができること~」第一部

震災後、様々なアクションを起こしていらっしゃるコピーライターの糸井重里さんに、震災直後から今までに目にしてきた世間の様子、遭遇された被災地の人々のこと、またこれからの復興についてじっくり伺いました。三部構成でお届けします。

対談「小さな芽をふきますように ~震災後私たちができること~」 第二部はこちらから
対談「小さな芽をふきますように ~震災後私たちができること~」 第三部はこちらから


園田
今回はお時間を作っていただきありがとうございます。
糸井さんは3.11後にツイッターやほぼ日(※1)等で、様々なアクションを起こされました。そういった一連のことについて伺いたいと思い、対談をお願いしましたが、まず発災直後からツイッターなどを見ているとものすごいエネルギーをつぎ込んでいらっしゃったと感じるんですが。

できないという答え

糸井
まずあの時はみんなで不幸せな状況に向かってつっこんでいくのが嫌だったんです。元々僕は、ポジティブなほうにだけ向かってにこにこしているのは案外ダメなタイプなんです。割とリアリストで、幸せになりたいなどということを過剰に思わないタイプです。でもあのときは、心配や不安でみんながチカラを出せなくなってしまっていた。それは危ないぞと感じていた。自分自身が何かお役に立てるわけではないということも、同時にすぐ気がついたんです。

園田
お役に立てるわけではないとは。

糸井
あのときはみんな、自分にはなにができるんだろうっていうこと考えたと思うんですが、僕は「できない」という答えをものすごく早くに出したんです。

園田
えっ、そうなんですか。実際に色々動いていらっしゃったと思うんですが。

糸井
動いていないですよ。例えばお医者さんでERのようなチームにいる人達は、今回のケースでも仕組みがあってすぐに被災地へ行きますよね。あとは自衛隊や警察や消防団の方も。そういう人の中に、自分が混じって何かをお手伝いするようなことはあり得ないなと。僕がそこに行くだけで僕をケアしなきゃいけない人が出てきてしまいますから。お役にはたちません。ちょうどツイッターが盛んでしたから、知らせることはできるってみんな思い込んでしまったんですよね。

園田
ああ、私もやっちゃいましたね。

糸井
みんなが誰かに対して知らせている状態でした。それがたくさん反射して、情報が増幅していき、なにが起こっていたかというと、やっぱり「怖い」という感情ばかりが大きくなっていって、そのなかにはデマも混じってきたりして。みんなが善意でやってしまったし、みんな自分にできることを探してあのような状態になったのだと思いました。

園田
糸井さんは自分が役に立てることはないといつ気づかれたんですか。

糸井
知らせることは当然自分もやりました。そこで僕はすぐ気づいたんです。今やっていることは誰から誰へ伝えようとしているのかと考えると、ほとんど役に立っていない。邪魔になっているだけだなって。実は、「できない」って答えを出すのはものすごく難しいんです。

園田
糸井さんはコピーライターでエッセイストで、誰かに伝えたいという想いで発信していく側のお仕事をずっとなさっていたから気づかれたんじゃないですか。

糸井
伝えるということの怖さと大事さは両方十分に分かっているつもりです。危険だと騒ぎ立てるということを、みんながしてしまったらどうなるかを考えないといけない。まさしくあの地震の直後というのはみんなが危険だと騒ぎ立ててしまっていたんですよね。

園田
はい、みんなそうなっていました。また、そのあとボランティアや絆と盛り上がりましたが、正義をしているんだという感覚で。

糸井
戦争中は戦争中で、キャッチフレーズを作ってきたのは実はコピーライターなんです。戦争中には優秀なコピーライターがかり出されて、名作と言われるものをたくさん作りました。「贅沢は敵だ」とか「パーマネントはやめましょう」とか。すぐれた表現技術をもった人がそこに参加すると、やっぱり影響力の強いものができてしまうんですよ。

園田
もちろんそうでしょうね。

糸井
誰もがどこかで、その正義の側につきたいという願望をもっていて、それが人をつき動かして、流されてしまうので、じっとしていることは難しいんです。どうしたらいいか判らなくなった時、目の前に伸びてくる手がないのであれば、もしかして自分は間違ってるかもしれないなということを少しくらい思った方がいいのではないかと。僕が自分自身にもつきつけた言葉です。僕はずっと「パーマネントをやめましょう」というようなものと戦ってきたところがあるんです。広告なんてちょっとおしゃれなものを作ったら、「そんな贅沢なことよりも」といつだって言われるし。でも人間が人間であるということは、ご飯を食べて栄養が足りていて、寝る場所があってということだけではないのだと思います。

園田
ええ、ええ。

人間の豊かな部分

糸井
例えば、喫茶店で無駄話をしたり、おんなじ1枚のシャツを着ていてもこんな柄のがあったらいいなと思うことが、人間の歴史の中の豊かな部分のほとんどを占めているんです。飢えないように食いつないできたという歴史ではないんですよ。戦をして領土を増やしましたとかいうことよりも、誰かのことを好きになるとか、いい声で歌唄ったらもてちゃったとか。

園田
はははは。よく分かります。無駄に見えるかもしれない部分、それが大事なんです。
 
糸井
そういうことがその人の人生なんです。
 
園田
赤ちゃんを育てることもすごくシステム化されています。何ヶ月になったらこうするとか、これを与えればこう育つとかいう数値やエビデンスがあって。育児雑誌にはそういうことが書いてあって、それを読んだお母さんたちはその通りにする。それって人間っぽくないよね、ということをなぜ誰も言わないんだろうといつも思っています。
 
糸井
システマチックな機械のたとえ話みたいですね。

園田
赤ちゃんが言葉にならない言葉で一生懸命何かを伝えようとしているときに、同じ部屋であっても1m離れたところにいるお母さんはそれに気づかず別の世界にいるというような状況を、人間の心を育てている時期にどう考えるべきなのか。

糸井
口紅だとか石けんだとか、おしゃれだというようなところが人間の豊かな部分を作ってきた、戦後食べ物が足りない時にでも人は石けんを求めるんだと言うことを僕に教えてくれたのが吉本隆明さん(※2)です。その吉本さんが、ご自身の娘さんの吉本ばななさんとお姉さんハルノ宵子さんの子守をたくさんされたということになっているんです。

園田
されたということに。

糸井
時間的には、実際に子守りをたくさんされたんです。公園に連れていったりして二人の子どもを遊ばせていた。奥さんが病弱だったので、お弁当も作ったし、吉本さん自身は全部やったと思っているんだけど、子ども達がすっかり大人になってから吉本さんに、「お父ちゃんはあのとき遊んでくれてなかったんだよ」って言うんですよ。

園田
ええ、こわいですね。

糸井
お父さんである吉本さんは何をしていたかというと、子ども達を安全な公園に連れていって、二人が遊んでいるのを見ながら自分は本を読んでいたそうです。

園田
ちょっと身につまされます。

糸井
そうなんですよ。吉本さんは人間理解について相当分かっていらっしゃる方ですが、そこで本読んで待っている時間を、子どもは遊んでくれなかったと思うわけです。大人になってそれを急に告発したりするんです。(笑)

園田
はははは。

糸井
吉本さんは70、80歳になってからそれに気付かされたというくらい難しい。つまり心の話というのは、どこかに技術の要素を入れないと、自然には分からないのだということなんです。

園田
吉本さんでもそうなんですね。

糸井
吉本さんは本当に平らな方で、散々弱い側の立場について書いていらっしゃいます。しかし、これでいいだろうと思ってやっているところで思考を停止していることが、子どもには通じてしまっていたんです。
 
園田
ばれちゃうんですね。
 
糸井
そこまでかと思ってしまうんでしょうね。おそらく、ああ永遠に分かりゃあしないなあっていう謙虚さみたいなものが人と人とを関係づけるときにものすごく大事なところなんじゃないのかなと。

第二部に続く


※1
ほぼ日(ほぼにち):「ほぼ日刊イトイ新聞」の略称。1998年〜糸井重里さんが主宰されている、「インターネットで毎日お送りする、ちょっとほかにはない、たのしい新聞」。著名人のインタビューやコラムなど毎日様々なコンテンツが更新されている。
 
※2
吉本隆明さん:思想家、詩人、評論家。その分野は多岐にわたり、多数の著作がある。作家吉本ばなな氏の父親。


糸井重里さんプロフィール

コピーライター/エッセイスト。1971年にコピーライターとしてデビュー。以後、時代を象徴する数多くのヒットコピーを生み出す。現在インターネットで「ほぼ日刊イトイ新聞」を主宰している。

ほぼ日刊イトイ新聞 http://www.1101.com/home.html

気仙沼のほぼ日 http://www.1101.com/kesennuma/

吉本隆明氏との対談
「日本の子ども」 http://www.1101.com/nihonnokodomo/


糸井重里さん著書

「できることをしよう ぼくらが震災後に考えたこと」
新潮社

「羊どろぼう。」
ほぼ日ブックス


お知らせ・特許を取得しました

特許申請を出していた、北極しろくま堂オリジナルスリング キュット ミー!の「可動式中綿」「肩パッド」他に関しての特許をこの度取得いたしました。
キュット ミー!は中綿の位置を変えることで、お母さんや赤ちゃんそれぞれの体型に合わせて使用でき、また取り外してコンパクトに使うこともできます。
スリングは一般的には、初めて使用する方にとっては少し練習が必要なものですが、中綿が入っていることでお首がすわる前の赤ちゃんでも容易に使用することができます。


Babywearing☆フォトコンテスト2012は終了しました。

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次号予告

新春対談企画「小さな芽をふきますように~震災後私たちができること~」第二部

三回にわたってお届けする糸井重里さんとの対談の第二回。
糸井さんが被災地に足を運ばれてわかった現地の人の想いや、取り巻く環境に話がおよびます。被災地が必要とし、自分たちにできることは何なのか、答えを探していきます。


編集後記

本年もよろしくお願いします。
月に2回お届けしているこのメールマガジンも昨年末に100号を数え、北極しろくま堂の想いを多くの方へお届けするツールとしてなくてはならないものとなっています。昨年は大きな災害により、たくさんの方が被害をうけられました。未来ある子どもを育てるための道具であるだっこひも・おんぶひもの専門店として、今北極しろくま堂がすべきこと、その使命を改めて見つめ直す1年でした。
2012年、北極しろくま堂は今一度自分たちのベビーウェアリングに対する考えを確認し、一歩一歩進んでいきます。どうぞ本年もよろしくお願いいたします。
 
SHIROKUMA mail editor: MK

EDITORS
Producer Masayo Sonoda
Creative Director Mayu Kyoi
Writer Mayu Kyoi, Masahiko Hirano
Copy Writer Mayu Kyoi, Masahiko Hirano
Photographer Yasuko Mochizuki, Yoko Fujimoto, Keiko Kubota
Illustration 823design Hatsumi Tonegawa
Web Designer Chie Miwa, Nobue Kawashima(Rewrite)

☆Happy Nurturing☆
HOKKYOKU SHIROKUMADO