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vol.92 対談「命つくすお産、だっこの記憶」第一部

vol.92 対談「命つくすお産、だっこの記憶」第一部
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バースコーディネーター 大葉ナナコさん × 北極しろくま堂店主 園田正世
対談「命つくすお産、だっこの記憶」

バースコーディネーターの大葉ナナコさんと、店主園田との対談が5年ぶりに実現しました。
現在大葉さんは子ども達やマタニティカップルなど様々な年代に対し誕生学プログラムを実施する一方で、ジョイセフ(※1)で、途上国の妊産婦と女性を守る活動をされています。第一部では、途上国の妊娠出産の現状や「ホワイトリボン(※3)」運動について教えていただきました。出産のリスクが最小限におさえられている日本に暮らす私たちには信じられないような途上国の現状、その環境を少しでも変えていこうというジョイセフの活動に目を向けてみてください。


園田
大葉さんは2月にアフリカに行っておられたんですよね。あちらの出産を取り巻く環境はどんなものでしょうか。

大葉
2月にジョイセフ(※1)の活動でタンザニアに行ってきました。タンザニアには120以上の民族がおり、その中でスクマ族という民族が一番多いのですが、今回訪問したシニャンガという州はスクマ族が大多数を占める地域で、出生率が7.3とタンザニアの中では最も高い地域でした。

園田
そんなにたくさん産むんですか。バース・コントロール(※2)という概念はありましたか。

大葉
都市部にはありますが、農村部では避妊法の普及の遅れや、そもそも多産の風潮があるエリアも。多産はハイリスクになってくるので、女性が妊娠の間隔をあけたいために避妊を希望しても、「なぜ、ぼくの子どもが増えるのがいやなのか?」と夫が避妊に同意しない場合もあると、現地の女性たちに聞きました。「産みたい子どもの数や時期や間隔は、産む女性自身が決められるべき」というリプロダクティブ・ヘルス・ライツの考え方は、女性の健康のためなのですが、まだ普及途中です。アフリカ諸国の中でも治安が安定しているタンザニアですが、小学校が義務教育になったのが1991年からで、母親世代の識字率はまだ低いのが現状です。資料を読めないこともあり、母子感染によるHIVの発症やエイズ孤児も多いです。
 
園田
識字率が低いということは、正しい情報を広めるにもすごく時間がかかるということでしょうか。

大葉
そうですね。避妊やHIV予防の知識をはじめ、健康教育の普及方法に課題が山積みです。タンザニアの西部の陣痛待機ハウスでヒアリングした時は、自分の年齢を知らない妊婦さんが20%くらいいました。出産によって亡くなる人も多いですね。妊娠や出産が原因で命を落とす女性が世界では90秒に1人、この大半がサハラ砂漠以南のアフリカで起きています。1年間に約36万人の母親たちが亡くなってしまう割合だそうです。それも日本では助かるようなケースばかりです。赤ちゃんが生まれてくる時期の知識がないために、水汲みの途中で産まれてしまい、へその緒を落ちている小石でちぎり切り、そこから破傷風になってしまうケースを聞きました。

園田
壮絶ですね。しかし小石を使ったり、屋外で産むことで感染症にかかるかもしれないという知識がないから、躊躇なく行ってしまうのでしょうね。
 
大葉
いのちを授かったら誰もが無事に生まれることを祈りますし、自分の他の子ども達のためにも、母は自分の死を避けなければなりません。前回2009年11月と2011年2月のタンザニア訪問では農村部の妊婦さんや産後ママたちや、地域の保健ボランティアの皆様に誕生学プログラムをさせていただきました。女性に備わる産む力や、赤ちゃん自身ができることなどを簡単にですが解説し、彼女たちが安心できて喜ばれる知識は何か、ヒアリングしました。不衛生な分娩処置、医療者以外による中絶処置で、いのちを落とす女性も多いと聞いて、胸が痛みました。

園田
私の母親は8人兄弟の末っ子だったんですが、「お腹にいるときに川にずっと浸かってたんだけど、あんたは死ななかった」と親から言われたそうです。でも当時はそれは普通だったようで、本人はそうされた事を特に辛いとも思っていないようです。

大葉
そうですか。そんなことを母親から言われたら、さぞかし大ショックでしょうけ れど、日本でも自己流の妊娠中絶しか選択肢がなかった時代があるのですね。
日本では病院もない時代から、交通手段や通信手段も発達して救急対応ができるようになり、母体死亡や乳幼児死亡率も、激減させることができました。母子保健政策が成功している日本だからこそ、途上国の母子保健の現状に対して、支援できることがたくさんあります。
 
園田
大葉さんが今日胸につけていらっしゃるのが活動のシンボルなんですよね。

大葉
「ホワイトリボン」(※3)といって、セイフ・マザーフッド(Safe Motherhood)のシンボルマークです。安全でない出産や中絶などで亡くなる女性を救うという国際的な運動が展開されています。一般の人も募金やチャリティ品を購入することで、この運動に参加できます。日本の方々にも世界のお産の現状を知ってもらい、一人でも多くのお母さんや赤ちゃんを救いたいと思っています。

対談「命つくすお産、だっこの記憶」 第二部はこちらから


※1 ジョイセフ:
世界の妊産婦と女性を守る目的で活動を展開している日本で設立された国際NGO。
http://www.joicfp.or.jp/jp/
※2 バース・コントロール:
受胎調節。妊娠の間隔を調整すること
※3 ホワイトリボン運動:
途上国の妊産婦や赤ちゃんを守るための国際協力活動。
http://white-ribbon.org/


大葉ナナコさんプロフィール

東京都出身。中学、高校、短大と8年間美術教育を受け、1985年、女子美術大学短期大学部生活デザイン科卒業。1987年に自然出産や母乳育児を経験し、女性のボディ・システムやいのちをつなぐ優れたデザイン性に感動。受講した出産準備教育の分野や産後のライフデザイン、ストレスマネジメントに関心を持つ。専門職の必要性を感じ、テレビ番組や出版分野で出産・育児の情報コーディネイターをしながら、国内外で妊娠・出産の生理や心身のサポート、出産準備教育、カウンセリングやボディワーク、通信制大学で心理学や社会学、教育学などを学ぶ。
1997年より、妊娠前でもカップルでも学べる講座を助産師と開講。桜美林大学オープンカレッジ、毎日新聞カルチャーシティなどで好評を博す。2003年有限会社バースセンス研究所を設立。産前産後の生涯学習、パートナーシップ支援、女性の心身に優しく豊かな出産を実現するための調査・研究・講座運営・出版・後任の育成を開始。世代別の優しい出産の学習プログラムを生み出し「誕生学」(商標登録)と名づける。
2005年、有限責任中間法人 日本誕生学協会(現:公益社団法人誕生学協会)を設立。次世代の妊娠出産育児を豊かにするべく、助産師、産科医、学識者や保護者たちと協働し、次世代支援者「誕生学アドバイザー」育成を開始。親子のエンパワーメント活動を開始する。


大葉ナナコさん著書

「Life 誕生学の現場から」ポプラ社

「えらぶお産 妊娠前から出産後まで、カラダとお産のホント」河出文庫

「‘笑う’育児のすすめ 2歳〜6歳編」実業之日本社

「二人目がほしいと思ったら」赤ちゃんとママ社


この対談は、東日本大震災の前日3月10日に行われました。 現在、ジョイセフでは、被災地の女性・妊産婦の支援を行っています。

このたびの東日本大震災で被災された皆様には、心よりお見舞い申し上げます。
犠牲になられた方々のご冥福を、心よりお祈り申し上げます。
1日も早く、安らかに過ごせる日々が来ることを願っております。
復興にむけて尽力される東北の方々、支援をされる方々にお会いするたびに、この国は、今、生活で、人生で、本当に大切なことをやり直す時期に入っていると感じます。
最短時間で最大効果を出す「効率主義」のビジネス論理だけでは、人はしあわせにはならず、子育ての世界では、時間をかけてコツコツと積み重ねていく関係性や、丁寧に感じあうふれあいの時間が欠かせません。今、東北の方々が教えてくださっている大切なことを、子どもたちの未来のために、つないでいきたいと思います。これからも東北の復興のために、微力ですが、ともに歩み続けさせていただきたく思います。

大葉ナナコ

 

東日本大震災で被災された皆様がたに、心よりお見舞い申し上げます。
また犠牲になられた方々に哀悼の意を表します。
今でも津波の被害や放射能事故の影響で苦しい毎日をお過ごしになっている方々の姿を拝見すると胸が痛みます。一日も早い復興を願っております。
私たちのところには震災後におんぶひもが役に立った、スリングがあって助かったなどのご報告や感想が届いています。Babywearingは人間が赤ちゃんを育てる基本だとの認識を新たにするとともに、このような過酷な状況がそれを知らしめてしまったことに複雑な思いがあります。しかしそれでも私たちがbabywearingを広めていくことは使命だと強く思いました。私たちがしている事業は直接の復興や支援にはならないかもしれませんが、これからも地道に声をかけ続けていく気持ちでおります。

北極しろくま堂 店主 園田正世


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次号予告

対談企画 「命つくすお産、だっこの記憶」 第二部
第二部は肌と肌がふれあうこと、だっこのお話です。いつもぴったり寄り添って子育てすることこそ子どもの心が育つうえで大切。そんな時間を今のこの赤ちゃんの時期だからこそより多くもってほしい、という大葉さんの温かい言葉からベビーウェアリングの大切さを再認識しました。


編集後記

安全に出産できるのが当たり前の日本に身を置いていると、今回の対談で教えていただいたような途上国のお産の現実が、つい別の世界の出来事だと思ってしまいます。しかし、100年ほど昔の日本では出産はやはり命がけだったはずです。母子保健の整備を進めてきた日本だからこそ途上国へできることがある、と活動しているのがジョイセフです。
今回の対談で大葉さんから途上国の現状を少し教えていただきました。ジョイセフのホームページにはもっと詳しい内容が掲載されています。まずは知ることから始めて、自分ができる範囲でアクションを起こす。一人一人の力はちっぽけでも多くの人が行動すれば大きな力になるのではないでしょうか。
震災で実感したのは、やはり人を救えるのは人であるということです。復興支援も途上国の母子支援も、人と人が手を取り合いともに歩みながら一歩ずつ進んでいくのが一番の近道なのだと信じています。
SHIROKUMA mail editor: MK

EDITORS
Producer Masayo Sonoda
Creative Director Mayu Kyoi
Writer Mayu Kyoi, Masahiko Hirano
Copy Writer Mayu Kyoi, Masahiko Hirano
Photographer Yasuko Mochizuki, Yoko Fujimoto, Keiko Kubota
Illustration 823design Hatsumi Tonegawa
Web Designer Chie Miwa, Nobue Kawashima (Rewrite)

☆Happy Nurturing☆
HOKKYOKU SHIROKUMADO