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スリングって、どこからきたの?

「スリングって、誰が考えたんですか?」
というお客様の声をしばしば耳にします。
赤ちゃんを一枚布で抱っこ・おんぶする文化は世界中のあらゆる地域で発展してきました。その歴史はとても奥深いものです。
手始めに北極しろくま堂のオリジナルスリング「キュットミー!」のような、リング付きのスリングがどのようにして生まれたのか、ご紹介しましょう。

vol.1 リング式スリングのはじまり

リング付きのスリングが開発されたのは1981年・ハワイでのこと。
レイナー・ガーナー氏が娘のフォンダちゃんのためにつくったものでした。
この内容を、医師のMaria Blois氏著書 "Babywearing -The Benefits and Beauty of This Ancient Tradition" からご本人の許可を得て引用・翻訳します。

1984年に発行された The Continuum Concept 日本語版「野生への旅 いのちの連続性を求めて」ジーン・リードロフ著、山下公子訳(新曜社)

レイナー・ガーナー氏と妻のヨシモト・サチさんはジーン・リードロフ氏の書いたThe Continuum Conceptを読んで、赤ちゃんをいつも抱っこして育てたいと考えました。
愛娘フォンダちゃんが生まれ、はじめに Front pack と呼ばれる抱っこひもを試してみましたが、フォンダちゃんはあせもができてしまいます。そこで、ガーナー氏は自身のワードローブからウールのスカーフを取り出してきてその両端を結び、肩に掛けてつり布状にしその中へ彼女を入れてみたのです。するとフォンダちゃんは、やさしく息をして丸くなり、まもなく眠りにつきました。

サチさんにとって、この方法は何とも思いがけないことでした。スカーフのスリングの中で無理のない姿勢で抱っこされたフォンダちゃんは、授乳をするのがとても楽になりました。そしてサチさんとフォンダちゃんはお互いに密になり、安らかで幸せな気持ちになったのです。
しかし、スカーフの端っこを結んだだけのスリングは最初の数日は良かったものの、まもなくして調節が難しいことがわかりました。背の高いガーナー氏と背の低いサチさんが一緒につかうためには、毎回のように結び目を変えなくてはならなかったからです。
ガーナー氏は、安全性に妥協せずにすばやく調節できる方法を模索しました。それには、赤ちゃんの重みで滑ったりしないように布を止める必要があります。彼はそのようなデザインを船の上で見た(※)のを思い出し、これがきっかけで2つのリングを使ったデザインを試すことを考えついたのです。
以上がリング付きのスリングが生まれた背景です。

※訳注:船の上で使われる何らかの器具や道具、船体の部品と考えられます。

ガーナー氏の開発した、実用的でファッション性の高いリング付きのスリングは、いま日本はもちろん世界各地で広まりを見せています。
日本ではおそらく1980年代後半には母乳育児を支援する団体「ラ・レーチェ・リーグ」のメンバーによりこのリング付きスリングが輸入され広められてきました。北極しろくま堂の店主の園田正世が、まだ会社を立ち上げる前にラ・レーチェ・リーグのメンバーを通じてスリングを購入し、その後、北極しろくま堂を設立してスリングを輸入販売し始めたのが2000年12月です。

それにしても、この広まりの大元になったとも言える本が先に触れたジーン・リードロフ氏のThe Continuum Conceptであるということが大変興味深いものです。この本は、石器時代から変わりない生活を続けている南アメリカの先住民族たちと合計2年半を共にしたライターが、彼らの育児の様子を綴ったものなのです。
子育ての身体感覚というものは、何千年も、もしかしたらそれ以上昔からも変わっていないことを証明しているかのようですね。

2006年夏にBabywearing Conference 2006がアメリカで開催されました。現地で北極しろくま堂の店主園田正世が直接お話を伺った、医師のMaria Blois氏の著書 "Babywearing" には、スリングの歴史はもちろんのことBabywearingの利点やBabywearingをはじめるにあたっての基礎知識が網羅されています。

Babywearing The benefits and Beauty of This Ancient Tradition(英語)
Maria Blois, M.D. Pharmasoft Publishing
ホームページ http://drmariablois.com/

※本特集を構成するにあたり、ラ・レーチェ・リーグで現在リーダーを務められている稲葉様には貴重な情報を提供して頂きました。ありがとうございました。

エメリー&ドゥルガ・バーナード著、仁志田博司/園田正世監訳の「世界のだっことおんぶの絵本」(メディカ出版)は、世界のあらゆる地域で発達したBabywearingの文化がとてもよくまとめてあります。ご興味がある方は、是非ともご覧ください。

Babywearingの起源

「北極しろくま堂の考えるBabywearing」の中でも店主の推測としての話がありましたが、スリングのような1枚の布などで赤ちゃんを身にまとって育てる文化は何千年も前からあたりまえのように行われていたことであるとわたしたちは考えます。

人が狩猟をして生活をしていたころは、生まれたばかりの赤ちゃんを寝床へ置いて大人がどこかへ行ってしまうということはなかったはずです。
そんなことをしたら、無防備な赤ちゃんはあっという間に獣に襲われてしまいます。ですから、子守をする大人が何らかの手法で常に赤ちゃんを連れて行動をしなければ、人が生き残ることは無かったでしょう。
また、自分一人では立つこともできない赤ちゃんを両手に抱えていてはその大人は食事をまかなうこともできません。ですから、赤ちゃんはあの手この手で子守をする人や親の体にしばりつけられていたはずです。

このように子どもの体を親の体に密着させて行う子育て”Babywearing”は、実用的であるという事実のほかに子どもの情緒発育にとても良いという研究もあります。北極しろくま堂でもこの調査に取り組んでいます。


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