トップページメールマガジン特集/カテゴリー別 ≫ 「目と目があって つながって」 〜 ここあのいえ 訪問 〜

新年から始まった対談企画。北極しろくま堂・店主の園田と「ここあのいえ」の中田さんの対談をお読みいただいて「わらべ唄」に興味が湧いた方も多いのではないでしょうか。
さて、最終回は「ここあのいえ」で行われている0歳児の「ねんねの会」にお邪魔しました。いくつかのわらべ唄とともにその様子をお伝えします。

 「ここあのいえ」は静岡市内の住宅地にあります。中田好子さん(通称なかよしさん)が4年前に一戸建てを借り上げて、活動を始められました。玄関の木製ドアには「ここあのいえ」「ようこそ」「こんにちは」というかわいい看板がかかっています。ドアを開けたら中田さんの「いらっしゃい」という優しい声が聞こえました。今回は、0歳児(生後3〜6ヶ月)の親子が集まる日です。「ここあのいえ」ではたくさんの会があり、小さい方から「おぎゃー」「ねんね」「おすわり」とかわいい名前が続きます。今回の0歳児は「ねんねの会」。11時の開始を前に1組、2組と玄関ドアが開き「こんにちはー」と元気なお母さんの声が響きました。
 12畳の和室に合計5組の赤ちゃんとお母さんが集まり、いよいよ会の始まりです。

赤ちゃんの寝返りにみんなで「上手、上手!」

 まずは、中田さんから「最近の赤ちゃんの様子を教えてくださいね。これまでお伝えしたわらべ唄をご家庭で試してみていかがでしたか。」と声かけがあり、順にお母さんが近況を報告してゆきます。
 「最近は、私の方をよく見てくれるようになって…」「それはよかったですねー」と、会話が続いているその時です。別の赤ちゃんが「うーーーーん」と寝返りに挑戦し始めました。みんなその赤ちゃんに注目。「わーーーー、がんばれ!がんばれ!」笑顔で声援を送ります。中田さんはそこで「ごろん」と赤ちゃんの動きに合わせて励ます唄をうたいました。そして赤ちゃんが顔を上げたら、正面から目を合わせて「上手 上手 上手」と、すかさず唄で誉めました。まわりのお母さん達も満面の笑みで「上手 上手〜」の大合唱です。
 中田さんは「いつも決まった言葉で誉められると、嬉しさを感じて、言葉を感じ、また頑張ろう、と意欲が育つのですよ」とおっしゃいました。
 赤ちゃんは、この体験がとても嬉しかったのでしょう。この会の最中、何回も寝返りをうっていました。寝返りをすれば、体の動きがよくなるのはもちろんですが、同時に唄いかけられることで、「人と向き合えて嬉しいな」という気持ちがしっかり育つのだそうです。

 お母さんからの近況報告の途中でも、赤ちゃんがわらべ唄の遊びをしだすと、中田さんはその動きに適した唄をすぐにうたいかけていました。赤ちゃんの様子を見守りながらも、お母さんに「Yちゃんは首がしっかりすわって、ちょっと動かしはじめたみたいだから、“かんぶ かんぶ かんぶ”という遊びがこの時期ちょうどいいわよ。」というアドバイスも。実際赤ちゃんと遊び、その動作をお母さんに見せながら「この遊びは、いつぐらいから始めたらよいか」「この遊びをすると何が育つのか」「遊ぶときの注意点は」などをきちんと説明してくれるので、みなさんの理解が深まってゆく様子が感じ取れました。この会では、「さあ、みんなでいっせいに!」と、声を揃えて唄いかけて遊ぶのではなく、中田さんがそれぞれの親子とじっくり向き合い、お母さんの質問にも答えてゆきながら、その人に合った伝え方をされていました。これが「ここあのいえ」流なのでしょう。

出てきてくれるかな?なかよしさん。

「かっこー(隠れたー)」
赤ちゃんは、相手の顔が手ぬぐいで隠れ、少し不安になりますが、何が出てくるかなと期待してじーっとみています。

「えだー(いたー)」
この笑顔で優しく向き合うことで、赤ちゃんは安心します。

(なかよしさんのアドバイス)

  1. 手や薄い布を使って遊びます。
  2. 「えだー(いたー)」と唄いかけます。びっくりさせて喜ばせるのでなく、優しくやるのが大事です。
  3. これは不安と安心の気持ちを体験する遊びで、人との関わりを求める気持ちが育ってゆきます。
  4. 赤ちゃんの反応はそれぞれですが、その子の性格もおおよそわかります。
  5. 生後3ヶ月くらいから、大人が見せ始める遊びです。だっこやおすわりする時期にも遊びます。してもらうだけから、「自分でやってみよう!」という気持ちに変わってきて、自らできるようなってゆきます。
  6. 大きくなったら、ふすまや物の陰を利用して、たくさん遊ぶようになります。

目を合わせるのが、ボクのお返事だよ。

お母さんが赤ちゃんの名前を呼んでいます。頬をつついたりして赤ちゃんの顔を無理矢理向かせたり、こちらが赤ちゃんの視線の先へ回り込んで目を合わせることはしません。お母さんが、真正面から心を込めて名前を呼んでいるところです。

呼びかけていると、やがて赤ちゃんは自ら目を合わせてくれるようになります。

「てんこ てんこ てんこ」赤ちゃんとなかよしさんが一緒になって

(なかよしさんのアドバイス)

  1. 「てんこ てんこ てんこ」と唄いながら手を軽く握り、「でんでん太鼓」みたいにお母さんの顔の近くで、くるくる手を返してみせます。
  2. 赤ちゃんが目で物を追う頃から行います。月齢が低い時はゆっくり。次第にリズミカルに。
  3. 大人から一方的にやってもらうだけでなく、自分も真似して返すようになり、それが赤ちゃんにとって本当の満足につながってゆきます。
  4. 赤ちゃんにより、真似し出す時期はまちまちです。本人がやろうとしなくても焦らないように。続けることが大事です。
  5. 赤ちゃんが遊びだしたら、「上手 上手 上手」と言って誉めてあげましょう。

※ 本来ならば、この写真よりももう少し頭を上に起こした状態で行うのが理想です。

 冒頭の写真にもあるように、「ここあのいえ」のわらべ唄の会は堅苦しくありません。中田さんのアドバイスを聞きながら、傍らではお母さんと赤ちゃんのおっぱいタイムがあったり、おむつを替えていたり、それぞれが自然にその時間を過ごされていました。わらべ唄の遊び方を教わりながら、子どもの成長の瞬間に立ち会えたときはみんなで喜び合い、赤ちゃんとの関わり方に悩んだときは中田さんを中心に他の人の意見に耳を傾けられていました。「赤ちゃんときちんと向き合いたい」とおもって、「ここあのいえ」へ足を運んでいらっしゃるお母さんと赤ちゃんには、共通した優しい雰囲気が漂っていました。

そして、お母さんの笑顔、笑顔、笑顔。

<お母さんたちの感想>

  1. わらべ唄は、子どもが目で物を追う頃から始めました。たまにうまく反応してくれない時がありましたが、なかよしさんが「赤ちゃんはしっかり見ているし、聞いているよ。真似しようとしているんだから大丈夫。」と言ってくれ安心しました。そして数ヶ月経ったらこうして真似してくれてびっくり! 機嫌がよい時を選びながら、焦らないで遊んだのがよかったとおもいます。
  2. 遠野でわらべ唄の伝承活動をされている阿部ヤヱさんの本を読み、なかよしさんのところに来ました。実際に教えてもらって、大事な意味がさらに分かるようになりました。
  3. 「ここあのいえ」では遊びだけでなく、おむつ替えや寝かしつけ、あいさつのやり方などを教えてもらっています。わらべ唄の知恵を知ると、この子と過ごすのが本当に楽しくなりました。
  4. こんなに小さくても、ちゃんとわかっているんですね。初めて真似してくれたときの喜びは忘れられません。
  5. 「ここあのいえ」には「マタニティーの会」もあって、そのときから通っています。おなかにいたときからわらべ唄に接していたので、出産しても安心して子育てが出来ています。

 会の最後はみんなで子守唄を唄いました。赤ちゃんはうとうとうと。みんな可愛い寝顔になり、お母さんに抱っこされて「さようならー、またねー」となりました。


<中田さんからのお願い>

わらべ唄には、ひとつひとつに遊びの目的、遊び始めの時期、遊び方など気をつけることがあります。この「わらべ唄の会」のお話を読んで、すぐにたくさんのことをしないでくださいね。段階を踏んでいくことが大事です。信頼関係がしっかりできていないと逆効果になってしまいます。ぜひ、阿部ヤヱさんの本などを参考にして、大人が勉強してから、遊ばれることをお薦めします。

<中田好子さんプロフィール>

現在、静岡市葵区にて「ここあのいえ」開業中。
公式HP http://cocoaacoco.petit.cc/

子育て支援センター講師
保育園・幼稚園講師
NPOしずおか環境教育研究会会員
元幼稚園教諭・元子育て支援センター指導員
元絵本とおもちゃ専門店勤務(プレイルーム担当者+わらべ唄と遊びの会担当者)

2児の母(中3娘、中1息子)


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