しろくまのお店づくり vol.1
「商品を見てから買いたい」というお客様の声に応えたい、そんな店主の想いが初めてお店という形になったのが、2005年11月3日「いいお産の日」にオープンした北極しろくま堂の東京・自由が丘店でした。
自由が丘というまちを選んだ理由、「想い」をカタチにする仕事。内装を手がけた(株)スタンダードトレード渡邊代表のお話とあわせて、お店づくりの興味深い裏側をご紹介します。
「商品を見てから買いたい」というお客様の声に応えたい、そんな店主の想いが初めてお店という形になったのが、2005年11月3日「いいお産の日」にオープンした北極しろくま堂の東京・自由が丘店でした。
自由が丘というまちを選んだ理由、「想い」をカタチにする仕事。内装を手がけた(株)スタンダードトレード渡邊代表のお話とあわせて、お店づくりの興味深い裏側をご紹介します。
こちらが、店舗の内装を手がけた(株)スタンダードトレードの代表、渡邊謙一郎氏。出店を決意した店主が紹介をうけて出会った、新進気鋭の家具デザイナー。お店を出すまちとして自由が丘をすすめたのは、実はこの渡邊氏でした。
「自由が丘は、『女性』と『お母さん』のバランスが良いところ。当初表参道という案もありました。しかし、表参道とか青山、代官山になると、ファッション感覚がより強い人が多い街です。北極しろくま堂が言うところのモノの良さとか、Babywearingといった教育を含めた考え方には、ある程度生活感があったほうが良いと思います。それで自由が丘を選びました。自由が丘は生活感があるけれど、同時に【自由が丘】ってプライドをもっていて全体的に品が良い。品が良くてゆとりがあるぶん、新しいものに対して理解があるのではないかと思いました。北極しろくま堂のことを理解してくれそうな人たちがたくさん住んでいます。」(渡邊氏)
自由が丘というまちは1932年に目黒区ができたことがきっかけで生まれた町名。欧米から帰国した教育者・手塚岸衛(てづか きしえい)が、1928年に自由主義教育を掲げた「自由ヶ丘学園」を創立し、これに注目した東急電鉄が翌年に九品仏駅を自由ヶ丘駅と改称。のちに町名にも反映したそうです。昭和期以降は農村から急速に住宅化が進み芸能人や文化人の多くが移り住んだまち。(※1)
「店舗を探しに自由が丘に行った日は、夏のとにかく暑い日でした。名刺を20枚もって、午後から自由が丘に入りました。不動産屋さんを一件ずつまわって路面店の空き物件を探したのですが、まず驚いたことに空き物件が一件もありません。どんなまちでもよく見る、不動産屋さんの外に貼り出されている貸し物件の案内、ああいったものが当然のようにあるものだと思い込んでいました。ところが自由が丘は土地ならではのやり方があって、空き物件が出にくい場所だったのです。とにもかくにも一軒ずつまわって『お店を出したいのですが』と説明をしましたが、『空いたら連絡するよ』という虚しい返事をもらうことしか出来ませんでした。日も暮れて最後に残った一枚の名刺を手に、ほとんど諦めた気持ちである不動産屋さんに入りました。そうしたら、そこにはなんと昨日空いたばかりという物件があったのです。実はそれが、今の自由が丘店でした。運命的な場所です。」(店主・園田)
お店の場所が決まったら、さっそく内装についての具体的な打ち合わせがはじまります。そこで「棚をどうしたいとか、モノの形に関したお願いは一切しませんでした。」という店主・園田に渡邊氏が繰り返し聞いたことがありました。
「北極しろくま堂は何をしたいのですか?」
「北極しろくま堂は、どうあゆんでゆきたいのですか?」
「お店をつくろうとしている人が、自分のやりたいことを自分の言葉で表現できることが大事だと考えます。どんなお店にしたいのか、というのはお店を出してみないと絶対にわかりません。僕が言い当てるのも難しいです。だから、クライアントみずから自分たちの進みたい方向を言葉にできるよう促します。それを受けて僕らは、こんな【仕組み】があったらこの方のやりたいことができるんじゃないか、この方にとってやりやすいんじゃないか、と理想型を考えて提案します。そのやりとりが内装デザインやお店のコンセプトをフォローアップしてゆきます。
モノの形はそれほど初めは重要でありません。モノは、どんな理由でこういう形にしたのかというところさえわかっていれば、それがうまく使えるものです。」(渡邊氏)
約3ヶ月という時間をかけて形づくられたわたしたち北極しろくま堂の「想い」。次号では、渡邊氏が考えた北極しろくま堂のお店の「あるべき姿」にふれてみると共に、渡邊氏率いる(株)スタンダードトレードと北極しろくま堂の仕事の意外な共通点をご紹介しようと思います。
参考文献:※1「東京都の地名」(平凡社)
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