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経験が生み出すオンリーワンの風合い
オリジナル楊柳の糸に施される繊細な仕事をご紹介してきた前回まで。連載最終回はその糸がいよいよ織り上げられます。
撚糸(ねんし)工場で強撚(きょうねん)に仕上げられた糸はその後のり付けされ、織工場へ運ばれます。
ちぢみを予想
楊柳(ようりゅう)という生地は前回取り上げた強撚糸(きょうねんし)で織られるため、織り上げた布に仕上げ加工を施すと大きくちぢみます。糸を張った状態で織り上げた時の「織り上げ巾」と、仕上げ加工を施した後の「仕上げ巾」の差が大きければ大きいほど「しぼ(しわ)」が大きく出て、暑い季節も寒い季節もより快適に使える楊柳地に仕上がります。この布のちぢみを予測して織り上げていくのが織物工場の職人さんです。その経験から、仕上がりの様子までを頭に思い描いた上で糸を織機にかけるのです。
仕上げ加工後の楊柳地
織り上げた直後の楊柳地
強撚糸=糸の撚り(より)回数が多い糸。緯糸(よこいと)に強撚糸を用いることで、楊柳には欠かせないしぼが生まれる。詳しくはこちら
しぼ=楊柳地の特徴であるしわのこと
筬(おさ)の決定
くしの歯のような部分が筬。間に緯糸が一本一本通っている。
今回織工場の職人さんが製織の注文が入った時点でまず行った事が、「筬(おさ)」の手配です。「筬」というものは、織物の幅や経糸(たていと)の密度や配列を定めたり、緯糸(よこいと)を打ち込んだりするために織機には欠かせない道具です。
今回の楊柳地の場合、織りあがった後の仕上げの工程で約7cmは縮むことを職人さんは想定しました。設計では約130cmの生地なので、約137cmに織りあがるように考える訳です。この137cmは織りあがった布をロールに巻き付けた状態の幅です。実際経糸(たていと)に緯糸(よこいと)を通して織りあげていく段階では強撚糸が完全にピンと張っているので、さらに幅のある142cmの幅の筬が必要となると判断されました。
全ての長さの筬が工場にある訳ではありません。142cmというサイズは比較的大きなものなので、今回は糸の番手(太さ)や強撚具合を考慮した職人さんがちょうどいいサイズの筬を手配しました。
糸をピンと張った状態で織っている様子
糸のセット
筬が届いたところで、織機を動き始めることができるように糸をセットしていきます。このセットするのに要する時間が今回の場合は1日かかりました。この糸のセット作業は伸縮のない平織りの場合は3時間程度で終わることもある作業なので、今回の生地にかかっている手間が非常によく分かります。
経糸(たていと)
織機にセットされた経糸
製織
糸がセットされれば、いよいよ生地が織られていきます。今回使用した織機は電子カム式のエアー織機というもの。緯糸(よこいと)が空気の力で運ばれていきます。昔よく使われていた力織機に比べ、メンテナンスが楽にはなったとはいえ、職人さんは動いている最中も何度もチェックを行います。織機や、それを調整する職人さんが違えば仕上がりの生地の風合いは全く違ってくるそうです。「楊柳は織り上げてみるまで分からない。」という職人さん。しかし、経験からその織り上がりの様子を頭に思い描いて筬選び、糸のセット、機械の調整を行っていきます。
こうして仕上がった生地は仕上げ加工が施された後、縫製工場へ送られキュットミー!として縫い上げられ、製品が完成するのです。
(縫製工場の製造風景はこちら)
それぞれの工程でこだわりを持った職人さんがいたからこそ生まれた今回の楊柳 クレープ/チョコトリコのオンリーワンの風合い。
赤ちゃんを包み込むその格子柄は、職人さん達の想いもつまって一層やわらかい印象となっているのかもしれません。
キュットミー! 楊柳 クレープ/チョコトリコの製品はこちらをご覧下さい。